同じ起業をするならば、「目線」を高く持とう

ラクスル・松本恭攝CEOと語る(下)

伊佐山:では起業したのは、「できる」という確信があり、「条件」が整ってからだったのですか。

松本:全然、整っていませんでしたね。何もないところから始めて、最初の資金調達まで2~3年かかりました。心技体が整っていなかった段階でスタートしたので、すごい時間がかかってしました。

ただ、その時間の中でいろいろなことを学びました。たとえば、黒字化できて成長が見えたときに、エンジェル投資家から言われた「中小企業をやりたいのか」という言葉はとても大きかったです。スタートアップは、小さな利益を上げることを追い求めるのではなく、「5年後、10年後をみたときに大きな事業をつくること」を考えて、逆算して、今やらなければいけないことをするということだと。3年間、試行錯誤の中で学んだことはありますね。

日本の競合他社との比較では甘い

伊佐山:ロールモデルとしている経営者はいるのですか。

松本:ビジネスモデルで言うと、医師向けに医薬品の情報を伝えるサイト「MR君」を運営するエムスリーの谷村格さんですね。事業のインパクトのつくり方で言うと、イー・アクセス、イー・モバイルを創業した千本倖生さんです。NTT出身でありながら第二電電(現KDDI)を立ち上げるなど日本の通信業界を牽引してきた起業家で、10カ月でイー・モバイルをサービスインさせるスピード感や、4000億円の資金を集めて、2~3年でインフラを作りきり、短期間で世の中を変えた。こうしたスピード感や規模感は日本の起業家の中ではすごいと思います。

伊佐山:千本さんは前職時代からご縁あり、まだベンチャーという言葉が珍しかったときから、何度もトライされている“ガッツ”と“自信”を併せ持つ先輩起業家です。その一方で、シリコンバレーには、千本さんのようなスケール感の起業家がたくさんいるのも事実です。もっと速いスピードで大きな資金調達をし、巨大な企業にした人も、ご存じのように数多くいる。

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