売り抜けたと言われるのは不愉快だ 千本倖生 イー・アクセス会長

拡大
縮小
売り抜けたと言われるのは不愉快だ--千本倖生 イー・アクセス会長

10月1日、ソフトバンクはイー・アクセスの買収を発表した。約1800億円に上る巨額買収で、契約数は業界2位に浮上する。イー・アクセス創業者の千本倖生会長は、日本電信電話公社(現NTT)を飛び出して、京セラ創業者の稲盛和夫氏と共同で第二電電(現KDDI)を創業。イー・アクセスではADSL事業や携帯電話事業に新規参入するなど、通信業界に新風を吹き込んできた。業績は順調に拡大していた中、なぜ今、ソフトバンクとの経営統合の道を選んだのか。

--2月に中期事業戦略を発表するなど、独立路線を貫くとみられていましたが、今回の買収に応じた理由は?

ゴールドマン・サックスなどが大株主なので、「出口」として株式を売却される可能性はつねに感じていた。だが、業績も着実に伸ばしており、自立して利益を出していこうと考えていた。

今回決めたのは、孫正義社長から熱烈なオファーを受けたからだ。孫社長が「テザリングをやります」と会見した(9月19日)直後から数回お会いしたが、あれほどの情熱とスピードがなければ、短期間ではまとまらなかっただろう。

われわれが強みを持つLTE(次世代高速通信)とソフトバンクのアイフォーン5を組み合わせれば、すばらしいシナジーを生み、イー・アクセス単独で事業を続けるより大きく成長できると考えた。同時期にKDDIの田中孝司社長にもお会いして真摯な提案をいただいたが、ソフトバンクが上回ったといえる。

欧米の知人たちからもらったメールは「250%ものプレミアムをつけて売るなんて大成功だ。おめでとう」という称賛だった。イー・アクセスのようなベンチャーがこうしたイグジット(出口)の形になるのは、世界ではノーマルだ。

次ページ当面は取締役を続ける
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT