「集団的自衛権は日本にとって有効である」 元海軍大将が語る「日米同盟の今後」

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――南シナ海での自衛隊の役割、使命についてはどう考えるか。

自衛隊の活動範囲を予測することはできる。海上自衛隊がその海域で商船を海賊から守ることは期待できる。災害救助も重要な領域だ。太平洋艦隊の総司令官だったとき、海上自衛隊が非公式に海賊退治に参加したことがある。当時、その海域でテロ攻撃があるのではないかと心配したものだ。

日本はその海域で責任あるメンバーであるべきだと思う。その海域を通る大量の海上輸送の商船が日本から出たり入ったりしている。南シナ海の領海紛争について、日本が軍事的に関与することを期待してはいない。

もっと対等なパートナーになるべき

――東アジア地域における脅威に関して、米国と日本は中国と北朝鮮について同じ相対的懸念を共有しているか。それとも別々のものか。

日米の利害は幅広く収斂しているが、それぞれの見解にニュアンスの違いがある。米国の見方では北朝鮮は日米同盟にとって脅威であり、核の脅威は日米同盟、米韓同盟に共通している。米国は日本に対して長いこと核抑止を続けてきた。北朝鮮との紛争はものすごく破壊的であり、日本には深刻な危害をもたらす。さらに拉致問題という長年にわたる懸案が加わる。

中国についての全体的な評価は日米とも一致している。中国は拡大を続ける政治的、経済的、軍事的パワーをどう使おうとしているのか。いくつか分岐がある。日中関係は1930年代、40年代、および戦争そのものの歴史問題でわだかまりがある。一方で中国は米国の“封じ込め”に懸念を表明しているが、他方で米国は中国がアジア太平洋地域で米国に取って代わろうとしているのを懸念している。こうしたニュアンスの違いを超えて日米に共通した懸念は中国の拡大するパワーをどう管理するかだ。

――安倍首相を含む日本の“修正主義者”は日本の敗戦後に制定された憲法に欲求不満を抱いている。集団的自衛権行使でより大きな自治権を獲得することによって日米同盟の一貫性が損なわれる懸念はないのか。

より大きな自治権と、より均衡のとれた米国との関係を獲得することは、安倍首相の望むところだ。今のところ彼はそういう考えをハッキリ説明できる人物だが、その考えは彼のあともずっと続くだろう。長いこと日本と付き合ってきて感じることは、日本はもっと対等なパートナーになるべきだということだ。

吉田ドクトリンによる暗黙の取引――日本は防衛で米国に重く依存する――は日本のような強い、成熟した、経験豊かな国にとっては、もはやふさわしくない。日本がより対等なパートナーになりたいと思うのはごく普通のことだ。これまでのような日本との関係は例外であり、ほかの主権国家との関係からみてルールとは言えない。

「ノーと言える」日本ではなく、「共通の利害について話し合い、はっきりさせよう」という日本を私は想定している。それは必然であるだけでなく、米国にとってもいいことだと信じている。

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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