「集団的自衛権は日本にとって有効である」 元海軍大将が語る「日米同盟の今後」

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――朝鮮有事の際に憲法の既存の条項、あるいは交渉中の一部の日米安保条約の条項の下でも、後方支援の提供は許されているのか。

それは許されている。しかし、抑止力強化など潜在的な助言については、防衛や安全保障に関するすべての通信情報についてハッキリさせておかなければならない。それは日本の主権を維持するための自衛隊の活動にとって必要であり、また戦闘状態での米軍の物流を安全に維持するのにも役立つ。

――自衛隊がそういう役割を演じることに関して、現時点では何が問題になっているのか。そういう使命を果たすのが禁じられているのか、それともハッキリしないことがあって日米双方の部隊の間で効果的なプランや統括ができないのか。

同盟国の日本と行う計画について詳細を明らかにすることはできないが、日本の一般大衆がわれわれの任務のスケールを認識するとは思えない。日本が集団的自衛権の行使を容認すれば、公開討論によって実際に何が起こるのかについて世論形成がなされ、仮想敵国に対する抑止力が強化される。

危機発生時に何ができるのかがハッキリしない

――かつて自衛隊が国連平和維持活動に参加するとか、9・11同時多発テロ後の米軍への後方支援に対して、日本ではかなり異議が唱えられた。

そのとおりだが、それは軍事プランナーにとっては問題だ。危機に直面して日本は何が、いつできるのか。ハッキリしないことがしばしば起きる。既存の憲法9条解釈による制約があるために、これまでに日本が貢献したことがある個々の国際紛争には非常に役に立ったし、手助けになったはずだ。その結果、国内で延々と議論が続けられたり、政府によって武力行使の撤回命令がなされたりした。

そういうことは東ティモールへの国際武力支援、あるいは9・11同時多発テロ以後のインド洋への海上自衛隊の派遣など、相対的に穏当で単純明快な紛争についても起こった。そのようなケースには、日本や自衛隊にはほとんど危険がないものや国際環境からして正当化されるものも含まれる。しかし、それらのケースは日本では大きな駆け引きとなり、自衛隊が撤退したケースもある。

その文脈からして、もし朝鮮半島で大紛争が起こり、自衛隊が想定される後方支援活動に巻き込まれるとしたらどうなるか。既存の憲法解釈によって容認される条項の下で、あいまいなことがすべてハッキリとし、国民にしっかりと説明されないかぎり、大変なことになるだろう。明瞭さの欠如は全般的な戦闘努力を損なうことになる。

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