「菅首相」にアメリカが妙に期待している理由 バイデン氏が初めて直接会談する外国首脳に

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日米の共同安全保障上の懸念のリストに台湾海峡が含まれるのは、佐藤栄作元首相が1969年に行ったアメリカのナショナル・プレスクラブへの有名な演説以来初めてで、中国が武力を行使した場合、アメリカと共に日本も自衛隊を派遣する用意があるのかもしれないという期待をアメリカに抱かせる。日本の強硬派が、台湾地域を「レッドライン(越えてはならない一線)」と呼び始めたこともこうした期待をより大きなものにしている。

事情を知るアメリカ側の防衛関係の専門家たちは、こうした期待を簡単に抱くことを戒めてもいる。日本は、沖縄が台湾からわずかな距離にあることもあり、アメリカ軍に後方支援を提供する準備ならできているかもしれない。しかし、中心的な目標は中国への抑止力を強化することなのだ。

しかし、台湾支援のシナリオさえ、日本国内の政治的制約の現実と、中国との間のバランスを保とうする日本の注意深い行動から見て、実現しそうにないとコロンビア大学のカーティス名誉教授は見る。

「日本がどういうわけか進んで取り組むようになり、何か重要なことをしてくれるだろうという考えは、誤りだ。日本は中国に、台湾に関する新しい方向性に自分たちが含まれていないというシグナルを、非常に注意深く送っている」

日本に長距離ミサイルを配備

アメリカ防総省当局者たちは、G2の精神を反映して、日本に対するさらに大きな目標を念頭に置いている。アメリカインド太平洋軍の司令官、フィリップ・デービッドソン提督は3月初めにアメリカ議会に対して、この地域には危険な「従来の抑止力の衰え」があると語った。

提督は、270億ドルの予算を投じる新しい太平洋抑止イニシアチブ(PDI)の下で、ミサイル防衛システムおよび空海両軍の航空機と組み合わせた、陸上および海上ミサイルによる「精密照準爆撃」のネットワークを第1列島線と第2列島線に沿って構築することを想定している。まだ計画段階ではあるが、この構想にはグアムやほかの太平洋の島々、そして日本に配備する新長距離ミサイルが含まれている。

だが、日本はこの計画に同意するだろうか。現在ヘリテージ財団所属の、最近退役したトーマス・スペアー元陸軍大将は「第1列島線の地域パートナーの中で、自国に長距離ミサイルを配備することをいとわない国はおそらくないだろう」と述べている。

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