週350本放送「ミニ番組が昔も今も粒揃い」の訳 見たことはあっても、知られていない存在意義
ミニ番組を編成すると、タイムCMを流せる時間量も違ってくる。民放連はプライム帯で流せるタイムCMの時間量を、原則的に60分番組なら6分間、30分番組なら3分間と定めている。だが、5分以内の番組の場合、CM時間量は1分間。このため60分番組だと6分間しか流せないタイムCMが、55分番組と5分番組の組み合わせにすれば、5.5分間プラス1分間となり、計6.5分間に増える。」
ミニ番組のスポンサーには時代が鮮明に表れるという。「昔はデパート(百貨店)がよくミニ番組を1社提供していましたね」(萩原氏)。確かにそうだ。バブルが弾ける前の1980年代までは、複数の局でミニ番組を1社提供する百貨店もあった。この百貨店の場合、顧客は若者が中心だったため、グルメや音楽をテーマにしたミニ番組をやっていた。しかし今はミニ番組を1社提供する百貨店はない。
新型コロナ禍などの影響で、百貨店業界の昨年1年間の売り上げは実に前年比約1兆5000億円ダウンの約44兆2204億円。その前から経営は厳しい。確かに時代が表れる。今、1社提供のミニ番組のスポンサーで目立つのは金融業界と食品メーカーだろう。コロナ禍であろうが金融業界の経営は底堅く、食へのニーズはいつの時代も変わらないことを示す。
テレビ局はどう捉えているのか
テレビ局側がミニ番組をどう捉えているのかも知りたい。そこで、各局にアンケートをお願いしたところ、一部の社を除き回答が得られた。NHKは3番組が制作方針を個別に答えてくれたので、後述する。
①ミニ番組の存在とは?
営業的観点、編成的観点でも、またタイムテーブルの多様性という意味でも、重要な枠であると考えます。
②ミニ番組の魅力をどうお考えですか?
営業ソフトとしてのミニ番組は、通常のCMとは違う手段で、スポンサーが伝えたい理念やメッセージを、番組として伝えられる点が魅力と考えます。編成ソフトとしてのミニ番組は、他番組などのPRを戦略的に行える点が魅力と考えます。
「フラッシュニュース」や「ビジネスクリック」等、さまざまなミニ番組を編成しています。「フラッシュニュース」は平日および日曜日のGP帯で編成しており、報道フロアから日々のストレートニュースをお届けしています。この番組は夕方のニュース番組以降に発生した事件・事故等を報道することが可能なため、より柔軟で即時性の高い報道対応の一翼を担っています。
ミニ番組と一口に言っても、スポンサー様にご提供いただいているものから、ニュース番組、番組宣伝など、さまざまなジャンルの番組があります。いずれも、放送時間が短いがゆえにワンテーマでコンパクトにまとめられた番組内容は、視聴者の皆さまの印象に残りやすく、長尺番組の間に効果的に活用しています。
①ミニ番組の存在とは?
プライム帯において、ほとんどがネットセールス番組のなかで、ミニ番組は系列各局が独自に制作し、セールスできるので、FNS全体として貴重な枠と捉えています。
②ミニ番組の魅力をどうお考えですか?
例えばSDGsを訴求した「フューチャーランナーズ」など、提供社と共に時代を反映した独自性の強い番組を放送できます。一方で「くいしん坊!万才」のような、普遍的なテーマで長く視聴者に支持される番組も生まれ、この多様性も魅力です。
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