週350本放送「ミニ番組が昔も今も粒揃い」の訳 見たことはあっても、知られていない存在意義
前出・萩原氏の解説と局側からの回答で、「ミニ番組とは何か」が浮き彫りになった。次に、ミニ番組のトレンドについて考えてみたい。
1社提供のミニ番組のスポンサーには時代が表れると先述したが、中身にも現代が反映されやすい。時間が短いので小回りが利きやすく、一方でスポンサーがイメージアップに結びつく今日的なテーマを求めるからだろう。
例えばフジテレビはアンケートの回答内で、SDGsをテーマとする「フューチャーランナーズ~17の未来~」(水曜22時54分~23時、提供=MS&ADインシュアランスグループ)について触れたが、テレビ朝日もSDGsを意識した「しあわせのたね。」(土曜9時55分~10時、提供=SMBCほか)を編成している。
テレビ東京にも「SDGsファイルチェンジ・ザ・ワールド─世界を変える志─」(水曜22時54分~23時、提供=創価学会)がある。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。15年の国連サミットで採択され、30年までに貧困や飢餓の一掃やジェンダーの完全な平等などを目指すというもの。
SDGsは大切なテーマに違いないが、一般の番組では視聴率的な問題で二の足を踏むはず。だが、小回りの利くミニ番組ならやれる。「ミニ番組は視聴率でとやかく言われない」(前出・萩原氏)という背景もある。スポンサーも歓迎するだろう。
3つの番組を見比べてわかったこと
SDGsをテーマにした3つのミニ番組を見比べてみた。
フジテレビ「フューチャーランナーズ」は、SDGsの実現に努める人たちが紹介される。視聴した日はスリランカ女性を雇用し、スポーツウェアのブランドを立ち上げたケルナ社の代表・前川裕奈さんが登場。生産も現地。布も同国内で余ったものを使っている。正味2分間ほどだが、開発途上国の雇用を変えようとしている前川さんの熱意が伝わってきた。若い視聴者には刺激になる番組に違いない。
次に、テレビ朝日「しあわせのたね。」にもSDGsを推進する人が出てくる。視聴日は学生服などをリユースする横浜市の「Pass」の店長・日暮晴美さんが登場。卒業して不要になった制服を買い取り、ホックや裾のほつれを直し、新品の3分の1程度で販売しているという。やはり興味深い情報だった。
テレビ東京「SDGsファイルチェンジ・ザ・ワールド─世界を変える志─」もまた、SDGsを推進する人を紹介する。視聴日はITを駆使して害獣を駆除する機器会社の川崎亘CEOが登場。檻に入った害獣をメールで知らせてくれるシステムが披露された。
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