養殖量の制限やむなし、狭まるウナギ包囲網

おいしい鰻重や蒲焼きは今後も楽しめるのか

今年に入り稚魚の漁獲量が回復し、「平均価格も前年比で半値以下となる1キログラムで110万~120万円といわれている」(水産庁増殖推進部)。だが近年は不漁で取引価格が高騰しており、相場が下がるといっても、かつての水準に比べるとそうとう高い。

そうした中、業者にとって悩みの種がまた一つ増えた。国際自然保護連合(IUCN)が6月12日、絶滅のおそれがある生物の情報を載せた“レッドリスト”の最新版を発表し、ニホンウナギを新たに「絶滅危惧種」に加えたからだ。

ワシントン条約の保護対象に?

今回、ニホンウナギは「近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの」と分類された。IUCNのリストに法的な拘束力はないが、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約が保護対象の参考にしている。同条約の対象になれば、輸出国の政府許可書が必要になったり、最悪の場合、商業目的の国際取引が禁じられてしまう。となると、日本に出回るウナギがさらに少なくなることが避けられない。ワシントン条約の締結国会議は2016年に予定されており、ニホンウナギも議論の対象になりそうだ。

ある食品スーパーの担当者は、「現在販売している国産ウナギは、ほぼ全量がニホンウナギ。規制対象になったら、米国やインドネシア産など別種のウナギの仕入れも視野に入れる。これまで取り扱ったことはないが、味に遜色はない」と語る。しかし、北里大学の吉永龍起講師は「そもそもインドネシアのような熱帯地域はウナギの資源量が少ないと考えられる。ニホンウナギが食べられないからといってほかのウナギに手を出せば、それも絶滅危惧種になりかねない」と、警鐘を鳴らす。

近年の不漁を受けて、2年ほど前からウナギの養殖や稚魚の漁が盛んな県を水産庁が指導し、産卵に向かう親ウナギの漁獲抑制や、稚魚の漁期の短縮を行っている。しかし、ニホンウナギは回遊魚で、日本のみならず中国や韓国など東アジアに広く分布している。日本だけの取り組みでウナギ資源を保護していくのには限界がある。

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