ワクチン阻む「陰謀説」仏国民が信じる根深い訳

3度目都市封鎖も効果見えず、打つ手ない政府

フランスにはトップリーダーが謝罪する文化はなく、とくにかつて投資銀行のマネジングディレクターだったマクロン氏のリーダーシップは、大統領になっても典型的なフランス式中央集権スタイルで民意を軽視していると批判されています。実際、マクロン政権に抗議する「黄色いベスト運動」の長期化も弱者を無視した経済政策から生まれたものでした。

マクロン大統領の強弁について、筆者の友人の事務機メーカーの営業部長を務めるブノワ氏に聞いてみたところ、「マクロンはコロナも数学的に処理できると勘違いしている。自分の頭脳への過信だ」と批判的でした。

内心では不安と恐怖でいっぱい

筆者のフランス人妻の弟もめい夫婦もコロナに感染しました。無症状だったものの、感染は身近に迫っています。義弟は「免疫ができて最強だ」、めいも「大したことじゃなかった。平気だ」などと強がっていますが、フランス人も内心では不安と恐怖でいっぱいです。ヴェラン保健相は昨年「18~24歳の若年層や、経済的に困窮している人々の間で特にうつ傾向が見られる」と指摘しました。

大学生は授業がリモートで孤立感と学業継続への不安を感じているだけでなく、アルバイトもできず経済的に困窮する、留学や企業研修(フランスでは多くの大学で企業研修が必須)のキャンセルを余儀なくされる、などさまざまな問題が噴出しています。

昨年10月の7万人の学生を対象とした調査では、11.4%が自殺を考えたことがあり、27.5%は深刻な不安障害を抱えていると回答しています。SNS上では学習意欲の喪失、不安を訴える投稿が増加する一方です。

不安解消のために昨年大晦日の夜から正月2日にかけて、フランス西部ブルターニュ地方の空き倉庫で2500人規模の違法な音楽ダンスパーティーが強行されたり、3月20日のマルセイユのカーニバルが強行されたりしています。政府内には国民の不満のガス抜き方法を見つけなければ、厳しい対策は続けられないという意見も出ている状況です。

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