アベプラ制作者と考える「メディアの在り方」 取材や報道内容で分断を生む可能性もある

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安部さんには、番組で「フードロス」を取り上げたときに、ゲストで来ていただいたのが最初でしたよね。あのときは、リディラバさんのスタディツアーの様子も取材させていただいて。当時はいまほどフードロスのことが話題になっていなかったので「おもしろいことをやっている人たちがいるな」と思ったことを覚えています。

放送終了後に番組の内容をABEMA TIMESに書いたところ、ヤフーニュースのトップに取り上げられて、結果として多くの方にフードロスの問題を知ってもらうことができました。

安部:当時はまだ「毎年、売れ残った恵方巻きが大量に処分されている」という事実が、世の中にほとんど知られていなかったんですよね。番組に取り上げてもらったことをきっかけに「恵方巻きを余らせて捨てるのはよくないのでは」という認識が広がり、売る側も努力するようになったりして、具体的な行動の変化につながったと思っています。

安部敏樹氏(写真:リディラバジャーナル編集部)

「メディアというのはこんなに世の中にインパクトを与えることもできるんだ」と実感しましたし、「自分たちも社会問題を遠くまで発信できるのではないか」とも思いましたね。

あの経験はリディラバジャーナルというメディアを立ち上げたきっかけのひとつにもなっています。

手が出せないジャンルもある

:僕がリディラバジャーナルをおもしろいメディアだなと思うのは、「振れ幅」があるところだと思っていて。真面目なことを取り上げているんだけれど、けっこう思い切ったこともやっている。

僕たちももっといろんなことがしたいなと思っているのですが、やっぱりできないこともあって。

たとえばリディラバジャーナルの記事のなかで、在特会の会長さんに、安部さんが直接取材に行った記事がありますよね。こういうテーマだと、テレビだと流せない言葉も飛び交うから、僕たちは手が出せないジャンルなんです。

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