アベプラ制作者と考える「メディアの在り方」 取材や報道内容で分断を生む可能性もある
郭:メディアって、インタビューする側の能力も大事ですよね。テレビの世界だと、たとえば「その人が話していた一部だけを切り取って報道している」とか「わざと失言を狙っている」と指摘されることがあります。
悪く言われることもあるけれど、それは「取材の手法」としてはありだと思うんです。テレビだと、なかなか取材のプロセスまでは公開できないんですけど「どうその言葉を引き出すか」というのは、やっぱり話を聞く側の力も影響すると感じています。
安部:メディアとして情報を遠くまで飛ばそうと思うと、たとえば「この人はこの発言をする前に別の話もしていた」とか「この発言が出るまでにはこういう問いかけをしている」という前提を共有しないほうが、メッセージとしてはシャープになって届きやすいことはありますよね。
テレビの場合、視聴者に勝手にその内容を切り取られて炎上してしまうことも多い印象があるのですが、そのあたりはいかがですか。
アーカイブでデマが証明できた
郭:アベプラが地上波の報道番組と違うところのひとつに「番組の放送後もアーカイブが残る」ということがあります。
以前、犯罪歴のある方に顔出しで出演していただいたことがあったんですが、放送後に番組の一部だけが切り取られて「この人は別の犯罪にも関わっていた」というデマが拡散してしまったことがあって。でも、番組のアーカイブが残っていたのでデマであることを証明できたんです。これはすごく価値があるなと思いましたね。
従来の報道コンテンツやニュースは後から見ることができないので、視聴者に都合よく切り取られると、どうしてもそっちが拡散されしまうことがあります。オープンな場にアーカイブを残せるというのは視聴者の役に立つだけでなく、発信者側の防衛にもなると感じます。
■リディラバジャーナル関連記事
・ひどいことをしたなと思いますが…在特会会長の告白
・社会課題の現場をメディアはどう伝えていくべきか——cakesのホームレス記事炎上問題から考える
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら