「報ステ」炎上CMでわかったニュース番組の高慢 テレ朝焦りの背景に20~34歳女性視聴率の低さ
日本テレビはもともと独自の「コア視聴率(49歳以下)」を設定し、若い層へのリーチを確保してきた。同局の売り上げ、利益が高いのは、世帯視聴率ではなくコア視聴率を重視する戦略が功を奏したからだ。
2019年以降、他局も少しずつそれぞれなりの「コア視聴率」を定めて番組内容や編成を変えていた。ところがテレビ朝日はこの流れに乗らなかった。世帯視聴率重視の姿勢を崩さずやってきた結果、番組が高齢層に寄りすぎて、これまでなかなか修正できなかった。
だが営業への影響が如実に出てきたため、そうも言ってられなくなったのだろうか。去年後半からずいぶん番組が変わり、若者を意識したものが明らかに増えていた。急に、若い世代の出演者が増えたことに気づいていた人も多いだろう。
こうした動きはバラエティが中心だが、テレビ各局、ニュース番組も少しずつ若い世代を意識し始めていた。とくに日本テレビの「news zero」は有働由美子氏をメインキャスターに据え、キャスターに櫻井翔氏、パートナーに落合陽一氏を起用して、取り上げる題材も若い世代に寄せている。
「報ステ」20~34歳視聴率、驚愕の低さ
そんな中での「報ステ」のWeb用CMだ。おそらく、若い世代の視聴獲得が課題になっていたのだろう。「久しぶりに会社に行ったことをリモートで友人に報告する若い女性」という設定の狙いはそこにあると思う。実際、入手した「報ステ」の世代別視聴率を見ると、極端に高齢層に寄っているのがわかる。
(外部配信先ではグラフや図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
これほど高齢層に偏っている「報ステ」を若い世代に見てもらう方策はあるのだろうか。そもそもテレビを見ないと言われる彼ら彼女らがニュース番組を見る可能性はあるのか。
それを考えるうえで、面白いデータがある。電通のメディア研究チーム、メディアイノベーションラボの3月18日のセミナーで発表された調査結果だ。
「どのメディアを頼りにしますか」と「メディアや情報源にどのようなメリットを感じますか」の2つを聞いて、人びとをメディアとの関係から6つのクラスター(CL)に分類している。
すべてを説明すると長くなるのでニュースに関係するクラスターに絞って簡単に説明しよう。
「CL1:古き佳きマス社会型」は世の中の動きを知るために新聞やテレビの報道を見る人たち。マスメディアのストレートな受容者だ。「CL4:マスメディア=参加・体験型」はCL1よりさらにニュースを求め、民放BSの報道番組も見たりする。テレビのニュース番組を見るのはこの2つのクラスターが中心だ。
他に「CL6:民放テレビで気晴らし型」もあり、比較的40代50代女性が多くドラマやバラエティ志向。この3つがマスメディア型だ。他の3クラスター「CL2:ソーシャルツイン型」「CL3:オルタナコミュニティ重視型」「CL5:ネットショッピング依存型」の説明は省くが、いずれもネットを中心にメディア接触する層。テレビへの依存度は小さい。
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