どんぐり街道、旭紋…高速の愛称は定着するか いまいち「ピンとこない名前」が増える理由

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そもそも高速道路の呼び方は、正式な道路名称がそのまま定着しているとは言いがたい。その代表的なものが、日本を代表する高速道路といってよい「東名高速道路」と「名神高速道路」である。

クイズなどにも時折出題されるのでご存じの方も多いと思うが、東名高速道路の正式路線名は、「第一東海自動車道」、名神高速道路の正式名は「中央自動車道西宮線」(東京都杉並区~西宮市)の一部で、通称と正式名が大きくかけ離れている。今、第一東海自動車道といわれても東名高速道路を思い浮かべる人は皆無に近いであろう。

走行中にも「第一東海自動車道」の表示を見ることはない(写真:スイマー / PIXTA)

このように高速道路の通称名は短くわかりやすいものが付けられているが、省略した形になると、初めて聞いた場合、どこの高速道路かわかりにくいものが出てきた。

たとえば、秋田市と新潟市を日本海に沿ってつなぐ、「日本海東北自動車道」。この略称には、「日東道(にっとうどう)」が使われているが、この名称だと走っている地域がイメージしづらいであろう。しかも、ややこしいことに法律上の路線名は、新潟市から秋田市を経て青森市までが「日本海沿岸()東北自動車道」となっており、こちらには「日沿道」という略称がある。

JRが東北線の関東エリアの部分に「宇都宮線」という愛称をつけたり、東海道線の関西区間を「琵琶湖線」「京都線」「神戸線」と名付けて案内をするなどわかりやすくしているのと比べると、略称のほうも少々わかりにくい感じがする。

舞若、旭紋…一般名詞のような略称

こうした中、現地へ出かけてみて、ほかの地域の人になじみの薄い略称が多く使われている路線が2つあった。「舞鶴若狭自動車道」と「旭川紋別自動車道」である。

舞鶴若狭道の字が見える標識(筆者撮影)

前者は、吉川JCTで中国道から分岐し、福知山、舞鶴などを通って、福井県の敦賀JCTで北陸道と合流する路線、後者は北海道比布町の比布JCTで道央道から別れ、オホーツク海沿岸の紋別までの高速道路だが、現在は遠軽までの開通となっている。そして、前者は「舞若道(まいわかどう)」、後者は「旭紋道(きょくもんどう)」と略称されている。

舞若道はかなり定着していると思われ、地元紙を見ても「舞若道」がそのまま見出しに使われている記事を見つけることができた。それでも最初に目にしたときは、幸若舞(こうわかまい=能や歌舞伎の原型といわれる語りを伴う曲舞)を極める「道」なのかと大いなる勘違いをするほど、なじみのない名前だ。

旭紋道も、この名を見てすぐに旭川と紋別を連想できるのは、北海道の地理に詳しい人に違いない。

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