米国の「高圧経済政策」は一種のギャンブルだ UBS証券の足立正道チーフエコノミストに聞く

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縮小

――テーパリング開始はいつとみていますか。

当社の見方は2021年9月からで、市場予想よりかなり早い。そこから1年ぐらいかけて縮小していくイメージだ。9月開始なら6月ごろから地ならしをする必要があり、6月16日のFOMCが注目される。

一方、利上げ開始について当社は2024年とみており、市場の平均的見方より遅めだ。リーマンショック以降をみてもインフレ率が2%を上回ったことはほとんどなく、平均インフレ目標の観点からいけば、利上げはゆっくり開始することになるだろう。

株価はまだ上昇していく

――株や為替などのマーケットの行方は。

アメリカの高圧経済的な政策はある種のギャンブルであり、順調に行くか、過熱してバースト(破裂)するかは現時点ではわからない。ただ確かなのは、経済再開が本格化するのはこれからで、金融緩和は(しばらく)続くということであり、10年債の実質金利もマイナスの状態にある。

株式などリスク資産の価格はまだ上昇していくと考えるのが自然だ。年内にいったん調整することはあっても、ベア(弱気)相場に転換することにはならないだろう。

実質金利がマイナスの間は、どんどんドル高になることはないだろう。一般的には、アメリカの景気が急速に回復するときは、アメリカの投資家がリスクテイクをして海外に投資するようになるため、ドル安になりやすい。

ただ名目金利が上がっていけば、ドル安が続くことも考えにくい。そうした要因が打ち消し合って、最近の1ドル105~110円程度のレンジがしばらく続くとみている。

――円が急騰する局面はあるでしょうか。

その可能性はつねにある。例えば、ワクチンが効かないコロナの変異種が出てくるとか、米中対立がホットな戦争になるとか、円高につながるリスクはつねにある。ただ、世界的に需給ギャップがマイナスで財政・金融政策を積極化している間は、基本的にリスクオフで円高が大きく進むような状況にはない。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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