森永「小枝」50年も激戦をくぐり抜けてきた秘訣 独特の商品性を持ったチョコが歩んできた歴史

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小枝のパック。袋を縦に破りやすいように1本分ほどの余裕があり、チョコに触れずに食べられる(筆者撮影)

時代に合わせて、マイナーチェンジを繰り返してきた小枝は、現在、SDGs(持続可能な開発目標)との関わりが注目されている。

2020年9月に「小枝」に使うチョコレートを、すべてバリーカレボー社から提供されるサステナブルカカオ原料に切り替えた。これはNPO「ココアホライズン財団」の認証基準を満たしたカカオで、森林伐採やCO2排出量の削減、カカオ農家の繁栄などに貢献できるという。また同年からパッケージの紙部分を国際森林認証制度「FSC」認証紙に切り替え、個包装フィルムの一部に「バイオマスプラスチック・フィルム」を使用している。

「サステナブルなリニューアルは、小枝の原点回帰ともいえる取り組みです」と信田さん。森永は、小枝を筆頭に、2025年までにすべての商品をサステナブルカカオ原料に置き換える目標をたてている。

ゴダイゴやV6のCMも話題だった

人気アイドルやミュージシャンが登場するCMも、注目された。1979年には当時人気絶頂のゴダイゴが出演。1999年には、V6の森田剛さんが「小技(こわざ)」と読み間違う、お茶目なCMが話題となった。「小枝は2016年を最後に、広告費を投入していませんが、とくに小枝<ミルク>の売り上げがここ5年で伸長を続けています。多くのファンに支えられています」(信田さん)

近年チョコスナックが好調で、コロナ禍にも売り上げが伸びているという。「閉塞的な日常にストレスがあって、さくさくとしたパフ入りチョコスナックのような、噛みごたえのあるものが求められているのかなと感じます」。

期間限定フレーバーが話題を呼び、定番をこまめにリニューアル。「みんなが知っている、誰でも食べやすい味わいの「生涯ブランド」として、次の50年に向けた第一歩を、お客様と共に歩んでいきたいという気持ちです」と、信田さんは締めくくる。

発売当初から、自然の大切さを伝えてきた小枝。おいしさとともに、ナチュラルでやさしいイメージは、50年たった今も引き継がれている。次の節目も、日本だけでなく地球の自然環境が守られ、楽しくチョコを食べられる世の中であってほしい。

市川 歩美 チョコレートジャーナリスト/ジャーナリスト

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いちかわ あゆみ / Ayumi Ichikawa

大学卒業後、民間放送局に入社、その後NHKで、長年ディレクターとして番組企画・制作に携わる。現在はチョコレートを主なテーマとするジャーナリストとして、日本国内、カカオ生産地などの各地を取材し、情報サイト、TV、ラジオなど多くのメディアで情報発信をしている。チョコレートの魅力を広く伝えるコーディネーターとしても活動。商品の監修や開発にもかかわる。

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