森永「小枝」50年も激戦をくぐり抜けてきた秘訣 独特の商品性を持ったチョコが歩んできた歴史

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小枝の優れた特徴を信田さんに尋ねると「まずは、どこにもない味と形と、細さですね。具材を沢山入れて細くするのはむずかしく、他社にはなかなかまねできないと思います」と話す。

いわれてみれば、たしかに細い。そのうえチョコに、アーモンドやパフがぎっしり混ざっている。「具材をたくさん入れて、細く成型したチョコレートを製造するのは技術的にとても難しく、研究員や技術者が試行錯誤の末、自社で小枝専用の装置を開発しました。その製造工程は、トップシークレットです」。信田さんは、小枝を眺めながらほほ笑んだ。

具材にも時代の変遷がある

チョコに入れる具材も、ベストバランスを追求している。発売当初のカシューナッツは、日本人の嗜好に合わせてアーモンドに。2012年からアーモンドに飴がけし、2014年からの2年はコーンフレークを入れた。「食感と味わいのいいとこ取りをしながら、時代の味の嗜好に合わせるのがポイントです」と信田さん。現在は、サクサクとまらないおいしさを最大限に感じられるよう、アーモンドと小麦パフと米パフが配合されている。

かつては「トレー」入りだった
昔の小枝はスライド式の箱だった。いまは4本ずつ個包装されている(写真:森永製菓)

パッケージの変遷にも、ぜひ触れておきたい。実は先日、ある小枝とほぼ同世代の男女が「今はもう、小枝の中はプラスチックのトレーじゃないの?」「昔、中のトレーは2つに分かれていたよね」「いや、1つだった気がする」などと、話すのを耳にしたからである。

確認すると、箱の中は「引き出し型の箱→トレーが1つ→トレーが2つ→2004年からトレーを廃止して個包装」と、変わっている。「核家族化、個食化が進み、1人で好きなときに好きな量を食べられるよう、徐々に時代に合わせて包装の形を変え、現在は食べ切りサイズにしています。今の個包装パックは指を汚さず食べられる設計で、衛生的だと好評です」。確かにきれいに食べきれる。

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