三宅:それが社会人何年目のときですか。
丸山:3年目。その頃は転職なんて珍しかったけど、円満退社だったね。
三宅:それでCBSソニーに入って、丸山さんが日本で初めてロックを音楽ビジネスにしたのですね。これも人と違うところに懸ける「逆張り」ですよね。
丸山:当時、まだ世の中では、全然、ビジネスになっていなかったからね。
ロックミュージックのインフラづくりから始める
三宅:なぜ、ロックをやろうと思ったのですか。
丸山:ビートルズとかローリングストーンズがアメリカでブレークしたということは、いずれ日本でも広まると思った。現在は違うけれど、1970年、1980年代までは、アメリカで起きたことは必ず何年か遅れで日本でも起きたから。
三宅:今でいうところの「タイムマシン経営」ですね。
丸山:それにもかかわらず、それまで日本ではロックの人気が出なかった。だからみんなやらない。でも、それはカネのかけ方が足りないだけ。ちゃんとカネをかければうまくいくだろうという、ごく単純な発想だね。そして、実際そうだった。
三宅:カネをかけたらうまくいくと思えたのは、何かそういう成功体験があったのですか。
丸山:だって、あらゆることはインフラがないと成立しないじゃない。結局、それまでの日本には、ロックをやるというインフラがないわけよ。だからインフラから作っていかなきゃいけない。
三宅:いやいや、単純どころか、それは中々できない発想ですよ(笑)。ここは大事なのでもう一度問いますが、なぜそう思えたのですか。自明の理ですか?
丸山:自明の理だろう(笑)。
三宅:すごいですね(笑)。DIも、「新しいビジネスをつくるには、産業から作らなければいけない」という発想から、「産業プロデュース」に取り組んでいます。これはまず国の政策などと連携しながら「産業の傘」を最初に作って、併せてその傘の下に位置づけられる事業をいろんな企業と一緒に創造するというものです。
丸山:それはいい発想だね。俺と話が合うじゃないか(笑)。
三宅:私は経産省にいたので、そういう発想が大事だとわかったのですが、丸山さんにとっては自明の理なんですね。私は6年も経産省にいて気がつきました。まったく恐れ入ります……。かないません。
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