高校在学中に、意地で大検を受験
丸山:吐いた吐いた(笑)。岩波新書に『自由と規律』という本があったの。池田潔という慶應の先生が、イギリスのパブリックスクールに留学したときのことを書いた本。その本に、俺と同じように「成績が下がったから部活をやめろ」と言われるエピソードが載ってたのよ。イギリスの先生は、「成績が悪いのは自分の責任ではあるけれど、でも辞める理由はない。部活も正式な科目なんだから」と言うと、それはそうだと納得してくれる。
ところが俺が同じことを担任の先生に言ったら、逆上されて大げんかになった(笑)。「お前なんかに内申書を書いてやらない」と言われんだよね。俺は、上等じゃないか、絶対にあいつの軍門に下るわけにはいかない。と思って、当時、誰も知らなかった大学入学資格検定というのを、高3のときに取ったの。
三宅:ええっ! 大検をですか? 高校に在学しているのに?
丸山:本当は大検って、高校に行っていないけれど、それでも大学に行きたいという人のためのものなんだよね。これが全部で14科目もあって、合格する自信がなかったから、「自分は高校2年までの単位はとったから、その分の試験を免除してもらえないか」って当時の文部省まで交渉しに行ったの。
三宅:なんちゅう高校生なのか……。交渉の結果、どうでした?
丸山:ダメ。「高校を辞めれば別だけど、在学中なら科目を免除するわけにはいかない」と、初等中等教育課の人が言うわけ。「私たちはそういうふうに判断してるから、不服なら東京都の教育委員会に行け」っていうんだよ。だから行ったよ。
でもそこも同じ見解で、全科目受けるしかないと言う。もう受けるだけで1週間かかったね。でも10月に合格通知が来たから、これで「あいつの軍門に下らずにすんだ」と思って、その後は、ほとんど学校に行かなかった(笑)。
三宅:東京都の教育委員会にも行ったんですか……。ところで先生は、内申書を書いてくれたのですか。
丸山:いや。頭に来ちゃうのはさ、俺が大検を受けたことを先生は知らないんだから、受験シーズンになったら、「お前、どこを受けるんだ」くらい聞くはずなのに、向こうも意地になって聞いてこないことなんだよ。だから俺は、大検の資格で大学受験したんだ。
三宅:なんと。こちらから「書いてください」とも要求しなかったのですね。先生も先生ですが、丸山さんも随分芯の強い高校生だったのですね(笑)。しかも大検を経て、結局、早稲田に入っちゃうところもすごいですね。
丸山:見た目は穏やかな少年だったけど(笑)、どこか刺激されるとムカッとくるんだろうね。
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