菅首相、無策の果ての「ワクチン1本足打法」 21日に宣言解除、リバウンド覚悟で背水の陣
政府は3月18日、1月から首都圏などで実施されている緊急事態宣言を21日を期限に全面解除する方針を決めた。菅義偉首相は18日夜の記者会見で、「病床ひっ迫度も改善され、解除の条件が整った」と判断の正当性をアピールした。
ただ、宣言対象の4都県では、ここにきて新規感染者数が増加し始め、先行解除された関西圏のほか、宮城県などでも感染再拡大が目立っている。政府諮問委員会の尾身茂会長も「リバウンドの可能性は極めて高い。解除した後の対策が重要だ」と危機感を訴える。
リバウンド対策は「ほぼ無策」
菅首相は宣言解除決定後の記者会見で、感染防止対策の徹底を改めて呼び掛けるとともに、変異ウイルスへの検査拡大や医療体制強化など5本柱のリバウンド防止策を打ち出した。しかし、「いずれも従来の延長線のものばかりで、ほぼ無策に等しい」(立憲民主幹部)と効果を疑問視する声が相次ぐ。
宣言解除の決断は、再延長後の2週間、新規感染者数が下げ止まりから微増に転じたことで「宣言の限界を思い知らされた」(同)ことが背景にあるとされる。菅首相も「だらだら続けても意味がない。あとは国民の協力とワクチン接種の迅速化が頼みの綱」(周辺)と開き直っている。しかし、下駄を預けられた格好の国民には不安と不満が募る。
2020年4~5月以来、二度目となった今回の緊急事態宣言は二度の期間延長を経て、約2カ月半での全面解除となる。政府は感染対策を当面は継続し、首都圏の飲食店への営業時間短縮要請は午後9時までとし、協力店舗には1日4万円が支給される。
ただ、宣言解除直後には都内の桜が満開となって、花見による人出の増加が想定される。年度末前後には学校の卒業式や入学式、企業の歓送迎会も相次ぎ、「都心部などでの人の動きが急拡大するのは確実」(政府筋)とみられている。菅首相は記者会見で「できることはすべてやり抜く」と強調したが、「リバウンドは必ず起こる」(感染症専門家)との声が出ている。
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