菅首相、無策の果ての「ワクチン1本足打法」 21日に宣言解除、リバウンド覚悟で背水の陣
小池氏は今回の宣言解除については最後まで態度表明を避けた。4都県知事の間で再延長するか、それとも解除なのかで足並みが乱れたためだが、「今回は政府に下駄を預けることで、リバウンドした場合の責任も回避したい」(都庁関係者)との思惑もにじむ。解除直前になっての時短命令も、「小池流の政治手法」(同)とみる向きが多い。
そこで注目されるのが関係者の間で「マンボウ」と呼ばれるまん延防止等重点措置だ。2月に成立したコロナ対策改正特措法に盛り込まれたもので、緊急事態宣言下でなくても都道府県知事が飲食店などに時短営業を命令することが可能。違反者への過料など、一定の強制力も持つ。
本来、緊急事態宣言発令が目前となった場合の措置とされていたが、日本医師会の中川俊男会長は、菅首相が宣言解除方針を表明した17日の記者会見で、「政府は、まん延防止等重点措置を(宣言の)解除と同時に適用すべきだ」と主張した。同日に東京の新規感染者数が400人を超えたことを踏まえたもので、小池氏にとっても「マンボウがこれからの政府との駆け引き材料になる」(自民幹部)との見方も広がる。
花見の人出が感染拡大を招くのか
他地域でも感染再拡大の兆しがみられる中、宣言解除後は全国での新規感染者数の推移が政府や自治体の対応に大きな影響を及ぼす。1年前には、「3月下旬の3連休の人出が、その後の感染爆発を招き、緊急事態宣言につながった」(政府筋)。特に国民が待ち受けている花見の季節は「感染拡大に直結しかねない魔性の桜」(感染症専門家)との声も出る。
そうした中、菅首相の強気にもみえる態度は「ワクチン接種で1年前の悪夢再来は防げる」(政府筋)との強い期待と自信からとされる。今後の菅首相のコロナ対策は「ワクチンの一本足打法」(閣僚経験者)というわけだが、肝心の高齢者への接種は自治体での混乱が日増しに拡大している。
19日の参院予算員会集中審議では、コロナや総務省違法接待問題での野党の追及に、菅首相も防戦一方だった。ただ、菅首相にとって身内のスキャンダルとなった違法接待報道は、ここにきて「陰に隠れ勝ち」(有力紙幹部)になっている。
今夏の東京五輪開催に向け、25日には福島を起点とした聖火リレーがスタートする。その直後には前半国会の最重要課題となる2021年度予算も成立。4月9日には菅首相が訪米し、バイデン大統領との日米首脳会談も想定されている。実現すれば、アメリカ大統領の対面による初の首脳会談で「菅外交の最初の成果」(外務省幹部)ともなる。
こうしてみると、宣言解除以降は「政治日程上も反転攻勢の季節」(側近)となる。ただ、「感染第4波となるリバウンドの有無が政局の最大の焦点」(自民長老)であることは避けられず、背水の陣で身構える菅首相にとって「当分は薄氷を踏むような政権運営」(同)が続きそうだ。
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