菅首相、無策の果ての「ワクチン1本足打法」 21日に宣言解除、リバウンド覚悟で背水の陣
宣言解除の決定を受け、菅首相は18日午後7時から首相官邸で記者会見した。冒頭、宣言対象となっている首都4都県について、感染レベルでの4段階の指標の中で政府が宣言解除の目安としたステージ3相当という基準を「安定して満たしており、解除の判断をした」と胸を張った。
一方、感染の現状は「新規感染者数は横ばい、微増の傾向がみられ、人出が増加している地域もあることから、リバウンドが懸念されている。変異株の広がりにも警戒する必要がある」との危機感も示した。
5本柱で感染拡大を防止
菅首相が宣言解除後の対応として強調したのは、①飲食店などでの感染対策徹底、②変異株の監視体制の強化・拡大、③感染拡大の予兆探知のためのモニタリング検査、④ワクチン接種の促進、⑤新たな感染拡大に備えた医療提供体制の充実・強化、の5本柱だ。
菅首相は「再び宣言を出すことがないように5つの対策をしっかりやるのが私の責務だ」と、自治体との連携を強調。感染再拡大時に緊急事態宣言に準じた対策が可能となる「まん延防止等重点措置」については、「必要であれば実行に移すのは当然だ」と語った。
記者団からは「感染が増えているのになぜ解除するのか」「リバウンド防止はできるのか」などの厳しい質問が相次いだが、菅首相は「5本柱の実施で何としてもリバウンドを防ぐ」などと答弁メモを読み続け、時には笑顔をみせる余裕も見せた。会見はこれまで通り時間を理由に打ち切ったが、強い抗議の声も出なかった。
これに先立ち、菅首相は18日午後に衆参両院の議院運営委員会で、宣言解除方針を事前報告した。これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は「すでにリバウンドが始まっており、解除は時期尚早」と指摘したうえで、「第4波を招けば内閣総辞職では済まない」と追及。菅首相は「1日も早い感染収束に全力を尽くすのが私の責任」と繰り返すだけで、第4波が起こった場合の政治責任に踏み込むことは避けた。
一方、対応が注目された4都県知事も18日に宣言解除後の対応などを協議。その結果、飲食店の営業に対する時短要請を段階的に緩和し、解除翌日の3月22日から31日までは閉店時間を現在の午後8時から午後9時まで遅らせる方針を決めた。その場合、酒類の提供は午後8時までとし、応じた店舗への協力金は現在の1日当たり6万円から4万円に引き下げることも確認した。
そうした中、小池百合子知事は18日、都内で時短要請に応じていない飲食店(27店)に、コロナ特別措置法に基づく時短営業の命令を出した。全国でも初めての強制力のある命令で、従わなければ30万円以下の過料を科す方針だ。
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