戦国最大のナゾ「豊臣秀吉」が朝鮮出兵した真相 名誉のためなのか、土地が欲しかったのか??

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玄界灘を渡った日本軍は、ふいを突いたので、まあ当たり前といえば当たり前かもしれませんが、半島の北まで快進撃を続けます。ところがそこで明の援軍がやってきた。まあでも、長袖の国の兵だし弱いだろう、などと思っていたら、彼らは荒くれものの異民族とのバトルを経験してきた軍隊。とても強かった。

日本軍も簡単には勝てなくなり、勝ったり負けたりの膠着状態に陥る。加えて朝鮮の民衆たちも立ち上がり、補給線が維持できなくなってきた。そうなると、これはもう泥沼の戦いになる。知らない土地を征服するノウハウがまったくない状態で始めた戦いですから、そうしたところで準備のなさが出てしまった。

何のために戦うのか目的がハッキリしなかった

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九州や関東を平定するのとはわけが違う。そうした状況を考えないまま開戦したのは秀吉の完全な失敗です。

そもそも秀吉は「この戦争はなんのために戦うのか」という目的を、きちんと掲げることができていなかった。海を渡った諸将たちも「いったいなにをすればいいんだろう」という心境だったはず。

昔の秀吉なら「これはうまく行かない、引くべきだ」と考えた時点で、早々に手を引くことができたと思います。しかしやはり、秀吉も権力者としてかなり思い上がっていたのか「なんだ。俺に逆らうのか」といった感じで引けなくなっていた。

明と講和を結んだときも「なにかおいしいことがあるだろう」と思っていたら、明のほうから言ってきたのは「汝を日本国王に任命する」。そんなことは当たり前だと激怒し、再び出兵してしまう。もはや昔の秀吉とまるで別人になってしまった。そう感じます。

結局、朝鮮出兵について、まだ定説はない状況が続いています。研究も行われているのですが、現代では繊細な政治問題も関わってくる。なかなか難しいのが現状です。

本郷 和人 東京大学史料編纂所教授

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ほんごう かずと / Kazuto Hongo

1960年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。文学博士。東京大学、同大学院で、石井進氏、五味文彦氏に師事。専門は、日本中世政治史、古文書学。『大日本資料 第五編』の編纂を担当。著書に『日本史のツボ』『承久の乱』(文春新書)、『軍事の日本史』(朝日新書)、『乱と変の日本史』(祥伝社新書)、『考える日本史』(河出新書)。監修に『東大教授がおしえる やばい日本史』(ダイヤモンド社)など多数。

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