「サントリー天然水」圧倒的に愛される納得の訳

30年で34倍、日本の飲料水市場は急拡大した

少し引いた視点で「水」を考えると、実は自由に使える水は少ない。地球上の水の約97%は海水などで、人間が利用しやすい淡水は0.01%だという。

水資源が豊富な日本でも、「良質な水」確保への危機意識が欠かせない。

飲料水の需要には供給体制も必要となる。サントリーは2021年春、長野県大町市に新工場「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」が稼働予定だ。

「水循環を知る、大切に使うに加えて、地下水の水源を守る活動にも力を入れ、2003年から『サントリー天然水の森』活動も始めました。現在は15都道府県に約1万2000ヘクタールの森を保全。自社グループ国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水の涵養(かんよう=地表の水を地下に浸透させる)の目標も達成しました。

この工場でも大町市と約440ヘクタールの『天然水の森』契約をしています。北アルプス区域の小学生を対象に『水育』(みずいく)活動も続けています」

北アルプス信濃の森工場の澤田元充氏(M-5工場設計チーム マネージャー。2021年4月以降は工場長に就任予定)はこう説明し、「稼働後は需要に対応する安定供給を行い、CO2の排出ゼロ化や省水化も達成したい」と気を引き締める。

水資源が豊かな日本でも「良質な水」を保全する必要がある(写真:サントリー食品インターナショナル)

ハードとソフトの両面で「水」と向き合う

澤田氏の語った「水育」とは、子どもたちに水の大切さを伝える環境教育で、2004年の開始以来、累計参加数は19万人を超えた。ハードとソフトでいえば、ソフトの視点だ。

「北アルプス信濃の森工場」は、「南アルプス白州工場」(山梨県)、「九州熊本工場」(熊本県)、「奥大山ブナの森工場」(鳥取県)に続く、サントリーの第4水源。グループ内で連携し、水質調査や地下水の可視化にも同時並行で取り組む。

同社の看板事業であるウイスキーやビールも、良質な水があってこそ生産できる商品だ。かつての同社はウイスキーが大黒柱(筆者のイメージでは「父」)で、2008年から黒字化したビール(同「長男」)は「元気印で頑張ってこい」という社風だった。やがて清涼飲料水(同「娘たち」)が成長し、今や孝行娘が屋台骨を支える。

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