「サントリー天然水」圧倒的に愛される納得の訳 30年で34倍、日本の飲料水市場は急拡大した

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この一家の存続には「良質な水」が欠かせないので、企業理念の中で「サントリーグループの約束=水と生きる」が位置づけられている。専門用語でいえば「SDGs(エスディージーズ=持続可能な開発目標)だが、あえてこう整理してみた。

「水と生きる」を、みんなでどう考えるか

サントリーの「水資源保全」への取り組みを、『水がなくなる日』『100年後の水を守る』などの著書を持つ、水ジャーナリストの橋本淳司氏(アクアスフィア・水教育研究所代表/武蔵野大学客員教授)はこう解説する。

「地下水は、民法に『土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ』と定められ、土地所有者に、その地下に賦存(ふぞん)する地下水の利用権があります。一方で『水循環基本法』では、『水は国民共有の貴重な財産』と位置づけられています。

過去には企業が自前の井戸から大量に地下水を汲み上げたため、周辺の井戸や湧水の枯渇、地盤沈下が発生したケースもあります。あらゆる水利用者にとって重要なのは、水の流れを面的に捉えることです」

そのうえで、橋本氏はこう続ける。

「南アルプス」「阿蘇」「奥大山」「北アルプス」と水源別に商品ラベルも異なる(写真:サントリー食品インターナショナル)

「地下水は上流の森林の保全、水田や湿地の保全によって涵養できます。地域とのコミュニケーションを大切に、地下水の流動、使用量、涵養量についての情報共有を図り、保全しながら活用していくことが、地域および企業の持続性につながります。

企業にとってはリスクの早期把握だけでなく、活動への対外的理解の促進、ブランドイメージの向上など、さまざまなメリットが生まれるのです」

良質な「飲料水」を味わい続けるためには、各飲料メーカーと酒類メーカーが連携して、水資源保全に取り組むのが理想だろう。企業活動を取材して感じるのが「誰かが必死で残さないと、残らない」という事実。「持続可能な水づくり」への高い意識共有も大切だ。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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