V6解散で可視化されたジャニーズ「世代間断層」 ジャニーズ一強時代の終焉と加速する世代交代

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テレビとジャニーズがいまのような密接な関係を確立したのは、1990年代である。1991年にCDデビューしたSMAPに導かれるように、テレビで歌い踊るだけでなく、ドラマ、コントやロケ、さらには司会業にも挑戦して成功を収めたのが、TOKIOであり、V6だった。そしてその後には、KinKi Kidsや嵐が続いた。

この1990年代の圧倒的な成功こそが、ジャニーズの現在の隆盛の土台になっていると言っても過言ではない。熱心なファンだけでなく、一般の視聴者にもジャニーズという存在が身近になり、支持される時代が始まったのである。

だが1990年代にメジャーデビューした彼らもほとんどが40代になった。自分のキャリアを考えて、次のステップを考え始めたとしても不思議はない。

今回のV6の解散についての事務所発表でも、「メンバー全員が40歳を迎えて向き合うV6の節目」という表現があった。経緯としては、森田剛がジャニーズ事務所を離れ、違う環境で役者としてチャレンジしたいと申し出たということだが、その意味では、彼がV6のなかで特別だったわけではないだろう。

実際、一括りにはできないものの、1990年代メジャーデビュー組は、近年次々と大きな転機を迎えている。2016年末にSMAPは解散、TOKIOは長瀬智也が今月いっぱいでジャニーズ事務所を退所し、他の3人は「株式会社TOKIO」を設立する。そして嵐が昨年2020年末をもって活動休止に入ったことは、まだ記憶に新しい。

ジャニーズのなかに生まれつつある世代間の断層

そこからは、いまジャニーズ全体が直面している時代の変化の波も垣間見える。

ここ数年、ジャニーズもネットの世界に本格的に進出し始めた。それを中心になって担うのは、10代から20代を中心とした若いジャニーズJr.の世代だ。ジャニーズJr.のグループによるオリジナル動画を見ることができるYouTubeの「ジャニーズJr.チャンネル」(2018年3月開設)は、いまやチャンネル登録者数140万人超を誇る(2021年3月12日現在)。

幼いころから当たり前にネットがあった「デジタルネイティブ」と呼ばれる彼らの世代にとって、YouTubeはエンタメとしてテレビと同等と言っていいような価値を持つものだろう。そこには、テレビが絶対的中心だった上の世代のジャニーズとのあいだに、メディア環境の劇的な変化がもたらした世代間の断層があるように思える。まだそれほどはっきりした流れではないが、ここから世代交代が加速することも考えられる。

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