ガスの液化装置や供給システムを手がける中国の中集安瑞科控股(CIMCエンリック・ホールディングス)は3月3日、ノルウェー企業と合弁会社を設立し、中国国内で「タイプ4」と呼ばれる高圧水素タンクを生産すると発表した。
中集安瑞科控股は貨物用コンテナ製造で世界最大手の中国国際海運集装箱(CIMC)の子会社で、香港証券取引所に株式を上場している。今回の合弁プロジェクトへの初期投資額は6億5000万元(約107億円)としている。
高圧水素タンクは、有害な排出ガスや二酸化炭素(CO2)を走行時に出さない燃料電池車(FCV)に必要不可欠な中核ユニットのひとつだ。FCVはタンク内の水素と空気中の酸素を反応させて電気を作り、走行用モーターを駆動する。
現在、FCV用の高圧水素タンクは内張り材が金属製のタイプ3と樹脂製のタイプ4の2種類が使われている。タイプ4はタイプ3に比べて軽量かつ高強度で、より多くの水素を充填でき、製品寿命も長い。しかし高度な製造技術が必要で、中国ではこれまでほとんど作られていなかった。
水素エネルギーのコスト低減に貢献
中集安瑞科控股の合弁パートナーのヘキサゴン・コンポジットは、樹脂ライナー製圧力タンクの世界的大手であり、タイプ4の高圧水素タンクを20年近く製造してきた経験を持つ。合弁会社は2021年4~6月期から工場建設に着手し、将来は年間10万本の生産を目指す。
タイプ4タンクの国内での量産が実現すれば、FCVの本格普及に向けたボトルネックのひとつが解決されることになる。
水素は(天然ガス改質や水の電気分解などの方法で)比較的容易に製造できるものの、貯蔵と輸送が難しく、エネルギーとしてのトータルコストがまだ高い。上海を中心とする長江デルタ地区を例に取ると、水素ステーションに運び込む段階までに1キログラム当たり40元(約661円)のコストがかかり、そのうち貯蔵と輸送のコストが約25%を占めている。
中集安瑞科控股の副総経理(副社長に相当)で水素エネルギー事業の責任者を務める楊葆英氏は、今後の見通しについて次のように語った。
「水素エネルギーのコストを下げるためには、水素のサプライチェーン全体を改善し続ける必要がある。タイプ4タンクの量産により貯蔵・輸送コストを低減すれば、トータルコストの引き下げに貢献できるだろう」
(財新記者:賈天琼)
※原文の配信は3月4日
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