エアアジア、「捲土重来」に懸ける真の狙い 平成の"黒船"は真っ赤な機体でやってきた

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会見終了後も大勢の報道陣がフェルナンデス氏と三木谷氏を囲んだ

――収益イメージは。

三木谷 来年から始め、徐々に上がっていくとみている。何年後にどのくらいの収益というイメージはあるが、ボスの了承がないとしゃべれない。

フェルナンデス 金額は、両方とも上場企業なのであまりハッキリは言えない。ただ、うまくいけば、エアアジア・ジャパンはエアアジアグループで一番大きい会社になる。それには政府のサポートもいるし、日本でいろいろな変革を起こしてきた三木谷氏のような強力なパートナーも必要だ。

日本は1億人の人口を抱え、立派な空港も多い。日本よりも人口の少ないマレーシアに2500万人の外国人旅行者が来ていることから考えても、日本が目指している「訪日外国人2000万人」の目標は十分実現可能。日本の可能性は巨大だ。

日本政府は東京のソリューションを見つけなければいけない。五輪開催を控えていることもあり、東京はもっとキャパシティを増やす必要がある。地方空港を開拓することもできるが、東京こそがミッシングリンク。日本政府がそのことに目を向けることを願っている。

――役員として入る予定は。

三木谷 役員として入ることにはなると思う。ボスしだいだが。

――日本でLCCは皆、苦戦している。黒字化できなくても、5、6年日本で頑張り続けるつもりか。

フェルナンデス問題はLCCの多くが成田を拠点としていることだ。だからわれわれは楽天、ノエビア、アルペンというパートナーを得て、違った形でやろうと考えているし、今のところエアアジア・ジャパンの将来を非常に楽観している。特に日本とアジアを結ぶ国際線には期待している。

「楽天航空」は目指さない

――エアアジア・ジャパンで増資が必要になったら追加で出資するか。

三木谷 それは仮の話なので状況を見ながら判断していく。あくまで短期的な投資ではなく、長期的視野に立った投資。現在、日本のアジア諸国に対するビザの発行が非常に緩和しており、この傾向は今後も続くだろう。訪日旅客数は非常に増えてくると思う。だから、エアアジアのように、アジアに基盤のある企業の日本向けビジネスにはとても可能性があると思う。

――18%の出資比率について。

三木谷 LCCは重要産業だが、われわれの中核事業ではないので、出資比率は20%付近が目安だと考えていた。あくまでサイドからのサポートに徹する。経営は航空業界で経験のある人たちが中心となって行い、われわれは「楽天トラベル」を通じた送客やeコマース、機内エンターテインメント、日本政府との調整などでお手伝いをしていく。航空の運航などは専門ではないので、エアアジア側がやっていく。

――中核事業ではないということは、楽天航空は目指さない?

三木谷 目指さないですね(笑)。餅は餅屋なので。ただトニーと一緒に、さまざまな機内のサービスを開発できたら楽しいだろうなと思う。たとえば決済の「Edy」など、日本で進んでいるものをアジアに持って行く。楽天が昨年買収した「Viki」を使い、多言語で映像を配信する機内エンターテインメントを提供することもできる。今までにない奇想天外な発想でいろいろやっていきたい。

(撮影:尾形文繁)

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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長谷川 愛 東洋経済 記者
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