例えば、一式で2万円台あるいは3万円台など2つの価格帯を持ったツープライススーツ量販店と百貨店のジャケットでは値段もさることながら、試着で鏡に映った姿を確認してみると「明らかな違い」に気づきます。「楽な着心地ときれいなボディーラインを両立しているもの」と「ただ単純にスリムなもの」、両者の違いは型紙です。
また、「値段の差」は生地感にも表れています。職業柄、私は素材表記を必ずチェックしていますが、100%化学繊維のアクティブスーツばかりではありません。ウールと化学繊維を混紡したタイプもあるため、ウォッシャブルやストレッチという機能を持ち合わせつつ、天然繊維の質感に近いものまで見かけます。
つまり、「部下を持つ立場」や「取引先に出向く職種」の方こそ、ビジネスウェアの質感と型紙を見直してほしいのです。自粛明けの今こそ価格帯が異なるショップにおいて、複数の通勤ウェアを試着してみることをおすすめします。
スニーカー通勤の人が見落とす「ベルトの幅」
一方で、自分の印象を格上げするビジネスウェアを身に着けたとしても、ベルトに違和感があれば台無しです。「ベルトと靴の色を合わせる」という着こなしルールは有名ですが、「ベルトの幅」を見逃すわけにはいきません。カジュアルテイストのベルトは太めですが、オフィスカジュアルやスーツなど、ビジネステイストのベルトは細めだからです。
とくにスニーカー通勤が浸透してきた結果、カジュアルなベルトを身に着けている人を見かけます。スニーカーだからといって、ベルトをカジュアルに寄せることはコーディネートの観点からするとプラスに働きません。
シャツインの着こなしにおいて、太いベルトは悪目立ちするからです。とくにノージャケットの季節になればなおさらです。一般的なビジネステイストのベルト幅は2.8~3センチ程度です。一方、3.5センチは太めですし、4センチは完全にカジュアルテイストと言えます。
最近では紳士服量販店であっても、カジュアルなアイテムを取り扱っているショップが増えてきました。デザインでうっかり選んでしまうと、実はカジュアルテイストということもあるかもしれません。たとえ色が合っていたとしても、これでは悪目立ちしてしまいますので、3センチ未満の細いベルト幅を選びましょう。
選択肢が多様化する時代だからこそ、「どこに行き、誰と会うか」というTPOの原点に立ち返り、機能と品位の両立が求められていると言えそうです。
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