一方、フグ田サザエさんは、一見、年齢不詳。この年齢不詳の見た目で、女性読者は自分と重ね合わせてしまうのです。筆者なども、自分と同じ世代(40代)と勝手に思い込んでいましたが、実際、調べてみたら、サザエさんは何と24歳! タラちゃんを21歳で産んでいるのです! 24歳にして、何という貫禄でしょう。
しかし、そんなことは普通に視聴していたらわかりません。きっと、世の中の女性視聴者たちは、「サザエさんは自分と同じぐらいの年齢よね」と思っているはず。フネさんの世代の人も、それより上の世代の人も「私はここまでおばあちゃんじゃないわよね」と、サザエさんに重ねて見ているのではないでしょうか。
ちびまる子ちゃんは卒業したのに、サザエさんは見続けている理由がやっとわかりました。
同じことがマスオさんにも言えて、マスオさんは28歳ですが、やっぱり年齢不詳。早稲田大学卒業の商社マンですが、家庭内でのサザエさんとの力関係は明白。世の中の男性視聴者は、マスオさんに自分を重ねて見ているのではないかと思います。
そして、子どもたちは、カツオくんとワカメちゃんに共感して見ているのでしょう。
ちなみに、フジテレビの公式ページによれば、主要な登場人物の年齢は次のとおりです。
実際、フジテレビのサザエさんのページには、10代から50代まで、幅広い視聴者からメッセージが寄せられています。意外にも男性、女性問わず30代、40代からの投稿が多いことに気づきます。「癒やされる」「嫌なことも忘れる」「心が和む」――この番組が殺伐とした現代のオアシスになっているんだなと実感します。
直近の番組に見る、磯野家の「家族愛」
なぜ、大人がこんなに「サザエさん」に共感してしまうのでしょうか? それは、扱っているテーマが一貫して「家族愛」だからです。
舞台は昭和。黒電話、家具のようなテレビ、畳、ちゃぶ台、ふとん……。昭和に生まれた世代としては、「あ~昔はこうだったよな~」と、何とも懐かしい気持ちになります。過去には特別番組で携帯電話や荒川静香さんが登場したことがあったようですが、基本は昭和の舞台設定をしっかり守っています。そして、毎回、居間でちゃぶ台を囲んで、家族全員が話すシーンや、お風呂で家族同士、一緒に話すシーンが必ずといって出てきて、波平さんの「ばっかもーん」も健在。古き良き時代の家族がそこにはあります。
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