菅首相の「宣言延長」を後押ししたある危機感

小池都知事主導の宣言解除というトラウマ

3月3日、首都圏の緊急事態宣言の延長について説明する菅義偉首相(写真:時事)

3月3日、菅義偉首相は7日が期限だった1都3県の緊急事態宣言を2週間程度延長する方針を表明した。

期限通りの宣言解除を目指してきた菅首相の突然の方針転換の背景には、またしても小池百合子都知事の「したたかな仕掛け」(政府筋)があったとみられている。

菅首相が当初思い描いていたのは、関西など6府県を先行解除し、首都圏を7日に解除することで、東京五輪開催決定への道筋をつけることだった。しかし、ここにきて首都圏での新規感染者数の減少幅が鈍化し、リバウンドの兆しすら見えてきたことで、思惑が外れた。

聖火リレー前の解除はあるか

菅首相の発言を踏まえ、政府は5日に諮問委員会で専門家の意見を聞いたうえ、衆参両院議院運営委員会の質疑を経て、同日夜の対策本部で正式決定する。その後、菅首相が公式記者会見を開いて延長の理由などを説明し、国民への協力を呼び掛ける。

延長後の期限は3月21日となる。首都圏の感染状況がさらに改善しない限り、25日から始まる五輪聖火リレー前に宣言を解除できるかどうかは不透明だ。もし、感染が収まらずに再々延長ともなれば、聖火リレーは延期や中止に追い込まれ、五輪開催決定も危ぶまれる事態に陥る。

その場合、自らの判断をアピールした菅首相の政治責任も含め、政局混迷にもつながりかねない。菅首相にとって25日までの3週間はまさに「薄氷を踏む状況が続く」(自民幹部)ことになる。

菅首相は3日夜、「(宣言延長は)自らが判断した」を繰り返し強調した。小池氏ら1都3県の知事は「基本的には一致」(小池氏)、「特に違和感はない」(黒岩祐治神奈川県知事)などと口を揃えたが、4知事からの要請前の意向表明には「正式の発表ではない」(黒岩氏)など、当惑も隠せなかった。

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