菅首相の「宣言延長」を後押ししたある危機感 小池都知事主導の宣言解除というトラウマ
菅首相のインタビューは、厚生労働省のコロナ対策アドバイザリーボードが協議している最中で、4日には首都圏4知事が「2週間延長」を要請する方針だった。それだけに、「後手批判を恐れる菅首相が、先手を打った」(自民幹部)のは間違いない。
2週間程度の宣言延期は「25日の東京五輪聖火リレーのスタートを意識した期間設定」(同)とみられ、政府与党内からは「中途半端で、先手必勝どころか必敗になりかねない」(閣僚経験者)との声もあがる。
唐突だった首相の延長発言
菅首相の「2週間程度延長」発言は唐突だった。3日のインタビューで菅首相は、西村康稔・経済再生担当相らとの協議を踏まえ、「病床が逼迫(ひっぱく)しているとのぎりぎりの指標もある。国民の命と暮らしを守るために、2週間程度の延長が必要ではないかと考えている」と表明。「専門家、関係者に意見を伺い、最終的に私自身が判断したい」と語った。
さらに、「1都3県の知事の意見もこれから伺ったうえで判断したい。まだ2週間と決定したわけではない」と答えたうえ、専門家や知事の意見を聞く前に表明した理由を問われると、「各知事にはそれぞれ電話で状況を伺っている。ぎりぎりまで1都3県の陽性者数などを参考にしながら方向性を出した。専門家にも大体考え方は伺っている」と独自判断ではないことを強調した。
2月26日のインタビューで逆切れし、それが批判されたことを意識したのか、3日は終始平静を装って応答。感情をあらわにする場面もないまま、「それでは」と軽く頭を下げて立ち去った。
菅首相の本音について、官邸サイドは「期限通りに宣言を解除するつもりだった」(周辺)と指摘する。政府部内には「延長してもきりがない」との声が多く、関係者の間でも「7日の宣言全面解除」が共通認識だった。
しかし、3日になって、小池氏らによる2週間の宣言延長を求める動きが加速。コロナ専門家からも、変異ウイルスによる感染再拡大を警戒する声が強まった。同日の新規感染者数は全国集計で前日より400人近く増加したことも、菅首相への強い圧力となったとみられる。
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