日本の高速道路は、例外はあるものの本線上の車線幅は3.5mが基本だ。一方、大型トラックの車幅は約2.5m。つまり、車線の中央を走らせるとなると、左右に0.5mの余裕しか残らない。
したがって大型車の車線中央維持機能には、車幅の狭い(といっても今や1.8m以上が主流だが)乗用車が備える同機能よりも、より精度の高い制御が求められる。
開発を手がけた三菱ふそうの技術者によると、「大型トラックは積荷による重量変動が大きいので、状況に左右されない制御システムの構築には苦労した」という。
加えてLK機能には、左右どちらかの白線や黄線に寄せた状態を維持する調整モードを備える。これは、道路左側の路肩で工事を行っている場合(右寄せで調整)や、自車の右車線を大型車が通過する際に対応(左寄せで調整)するためで、ステアリングのスイッチ操作で車線中央位置から左右にそれぞれ0.3mほど寄せたまま、その位置を維持するようステアリングには操舵アシスト力が加わる。
今回、大型トラックの働く現場、高速道路でアクティブ・ドライブ・アシストの①ACC機能と②LK機能を実際に経験した。①と②が連動した運転支援技術が自動化レベル2(アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態)となる。
正確で丁寧な自動操作を体験
筆者は大型免許、二種免許、牽引免許などを保有し商用車の開発ドライバー経験があるが、アクティブ・ドライブ・アシストのステアリングサポートはじつに正確で丁寧、見事だった。
「大型トラックでは、まずドライバーの運転負担軽減を目的に高速道路や自動車専用道路で使用できる運転支援技術を実装しました。一方、小型トラックでは車載センサーの精度をさらに向上させ、一般道路においても高度な衝突回避支援が行えるような技術開発を継続しています」。こう語るのは三菱ふそうトラック・バス副社長であり開発本部長の安藤寛信氏だ。
2020年6月、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第181回会合において自動化レベル3技術の国際基準が成立。日本では条件付きとはいえ“自動運転”と名乗れる車両が販売できるようになった。
大型トラックの世界では、実証実験として自動化レベル4=自動運転車(限定領域)を目指した隊列走行が高速道路で行われている。一方、実用化ではアクティブ・ドライブ・アシストに代表される自動化レベル2、つまり高度な運転支援技術が世界中に広く浸透する段階を迎えた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら