千葉市の2020年4月1日現在での「入園決定率」は89.9%と、9割近くにのぼっています。全体として認可に申し込んだ希望者の大半がなんらかの認可保育施設に決まっているということです。
これは、平均の77.5%を大きく上回っており、ここまで取り上げてきた自治体(中央区59.5%、横浜市、81.0%ほか)と比べても、格段によい数字と言えます。ただし、区によっても違いがあると思われるので、注意が必要です。
千葉市が国に報告している待機児童数はゼロです。しかし、「認可に申し込んで認可を利用できていない児童数」は485人になります。ここから次の6つのケースに当てはまる人数を引くとゼロになります。
②自治体が補助金を出す認可外保育施設に預けている場合(地方単独事業:東京都の認証保育所など)
③保護者が育児休業を延長していて復職の意思が確認できない場合(育児休業中の者)
④通える範囲に保育施設(認可外も含む)が空いていると判断され、そこを利用していない場合(特定の保育園等のみ希望している者)
⑤再就職希望で求職活動を十分に行っていないと見なされる場合(求職活動を休止している者)
⑥その他:幼稚園の預かり保育、認可に移行するための補助を受けている認可外保育施設、特例保育などを利用している場合
千葉市の待機児童数はゼロなので、「認可に申し込んで認可を利用できていない児童数」の485人は一人も待機児童数としてカウントされていません。調査対象100市区の平均では、「認可に申し込んで認可を利用できていない児童数」のうち平均8%くらいが待機児童数としてカウントされていますので、その割合でいけば、千葉市の場合、待機児童数が40人前後いても違和感がないことになります。
待機児童数のカウント率が低いのが気になりますが、「入園決定率」は高いので、他の首都圏大都市に比べると、認可保育園等に入りやすい市と言ってよいでしょう。
千葉市の「利用できていない児童数」の内訳で特徴的なのは、「特定の保育園等のみ希望する者」の割合が88.7%と高いことです(100市区平均は44.3%)。
これは、100市区中6番目の高さです。市によれば、育児休業の延長希望者(不承諾通知をもらって育休を延長するために点数を低くすることを了承した人)も「特定園希望」に含まれているとのことですが、立地や保育年齢、保育の質などが気になって「通える範囲内の保育施設」を辞退した人もいると考えられ、整備された保育と保護者や子どもニーズのミスマッチについて精査する必要があると思われます。
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