株式会社のルーツ知らない人が驚く意外な事実

慣習に縛られないオランダが発祥となったワケ

かつてオランダは大航海時代を生んだスペイン・ポルトガルを追い越していました(写真:Olena_Z/iStock)
大河ドラマ『青天を衝け』で、日本に「株式会社」という仕組みを初めて導入したと言われる渋沢栄一に注目が集まっています。「株式会社」が世界で初めて生まれたのはオランダ。世界史にも頻繁に登場する「東インド会社」です。
では、「株式会社」はなぜオランダから始まったのか。歴史を「経済」の視点から紐解く『そのとき、「お金」で歴史が動いた』の著者ホン・チュヌク氏は、その理由が旧来の「荘園制度」からの脱却と、16世紀から長らく続いていた独立戦争にあると分析します。

株式会社が生まれる前の起業は〝命がけ〞だった

アメリカや日本のような「市場経済国家」の姿を象徴するものは何でしょうか。さまざまなイメージが頭に浮かぶと思いますが、株式市場ほど象徴的なものもないでしょう。刻々と変化する電光ボードの株価、その株価の騰落に従って歓喜・絶叫する人びと。これほどドラマチックな場面もありません。

では、株式市場とは何でしょうか。一言で言えば、株式などの有価証券を取引する場所のこと。株式とは、ある企業の持分を意味します。しかし、一般に言う持分とは異なります。株式会社というものがつくられる以前は、事業を始めるにあたって「人生を賭ける覚悟」が必要でした。事業がうまくいかずに失敗すれば、その事業の負債を最後まで返済しなければならなかったのです。

この伝統は非常に古く、古代社会では債務不履行となれば大変厳しい処分を受けました。古代ローマでは、どれほど小さな債務であっても、履行しなければ債務者の全財産は没収されて競売にかけられることに。西欧ではこの慣行が19世紀まで続いていました。そのため、事業は誰にでもできるものではなく、よい事業のアイデアがあってもそれを実行に移すのは相当に難しいことだったのです。

しかし、社会が発展し複雑化する中で、「無限責任」の原則が事業の障害物になるという認識が広がりました。特に、大航海時代が始まったあと、1年や2年という単位ではなく、数年から数十年にわたる事業を行う必要性が生じたため、「有限責任」を基本に長期の事業を営むための新たな制度、すなわち株式会社をつくる必要が論じられるようになったのです。事業に失敗しても、自分が投資した持分だけを放棄すれば、それ以上の責任を追及されないのが「有限責任」の制度なのです。

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