日本人に今こそ必要な「あいまいさ」を許す力 社会に蔓延する排他的な思考を打ち破る考え方

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例えば最近ビジネスにおいて、MBAで学ぶ工学的なサイエンスのような戦略のみならず、センスやアートのような感覚的な判断が大切だと言われています。

教科書どおりの、通り一遍のマーケット感覚や経営観、もっといえば人間観では捉えきれないのが、本来の世の中だからでしょう。

『考えることこそ教養である』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします )

また社会が多様化し、「こうあるべき」といったこれまでの一色の常識では捉えきれない世の中になっていることも一因です。だから、「あいまいさ」が求められる。

 「そういう考え方もあるのか」
 「逆の立場から見れば、賛成できないのもわかる」
 「まだ理解できないが、そう判断をする人もいることはわかる」

AかBか白黒をつけずに、さまざまな意見が集まる、あいまいな部分。住居でいえば外でもない、内でもない「縁側」のような余白を持つことは、多様化して捉えづらくなった世の中を寛容に受け止める思考のスペースになり、心の余裕にもなるのではないでしょうか。

あなたの心に「縁側」を取り戻そう

考えてみれば、縁側はその内側に住む旦那さんと、庭を手入れする庭木職人さんが交わって雑談する場所でもあります。普段は交わらない場所にいる他人同士が、気軽に同じ場所に座って、「最近調子はどうだい」「そういえばこんなことがありました……」などと言葉を交わし、時に知恵を交換し合うわけです。

いま、物理的にこうした場所が失われつつあるのは大変もったいないと思います。皆さんの頭の中にこうした縁側の精神を持ち、さまざまな考えを受け入れながら考えを膨らませ、さらに深く考える習慣を身に付けてほしいと考えます。

竹中 平蔵 慶應義塾大学名誉教授

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たけなか へいぞう / Heizo Takenaka

1951年、和歌山県和歌山市生まれ。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行。81年に退職後、大蔵省財政金融研究室主任研究官、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年より小泉内閣で経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任。

現在、東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター長・教授、慶應義塾大学名誉教授、世界経済フォーラム(ダボス会議)理事などを務める。博士(経済学)。著書に『平成の教訓 改革と愚策の30年』(PHP新書)、『この制御不能な時代を生き抜く経済学』(講談社+α新書)など多数。

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