愛知在住の筆者としては複雑な気持ちになるエピソードだが、留美さんの言いたいことはちょっとわかる。愛知はよくも悪くも地元で小さくまとまりたがる土地柄なので、郷土愛の強いよそ者には住みづらいのかもしれない。ちなみに関東地方の地域色の薄い新興住宅地で生まれ育った筆者は平気だ。
もっと深いところでわかり合える相手と出会いたい
そんな留美さんも2年ほど前からは結婚したい気持ちが高まった。婚活パーティーに参加したこともある。しかし、外見や瞬間的なコミュニケーション能力でお互いを判断し合うのは「もったいない」と感じた。
「私もそういう場では社交スイッチを入れて3割増しにいい感じに振る舞います。でも、それは普段の自分ではありません。私には色白でかわいい感じの男性を追いかけてしまう癖もあるのですが、その相手が自分に合うかどうかは別問題です」
もっと深いところでわかり合える相手と出会いたい。本連載の愛読者でもある留美さんが見つけてくれたのがオネットだった。
「大宮さんの文章はちょっと自虐を挟みつつも謙遜しすぎず、自分大好きな感じが出ています。すごく個人的な感じで、私にだけしゃべってくれているんじゃないかと思うこともあるぐらいです。この文章が好きな人は単に趣味が同じという以上に気が合うはずだと思って、オネットのお世話になりたいと思いました」
そういえば若い頃、ある編集者から「うちの編集部内で大宮くんの文章を大好きな人たちと大嫌いな人たちがいる。中間はいない」と指摘されたことがある。記事の中に自分好きな自分を登場させるところに拒否感を覚える人もいるのだろう。そういう人に限って出版業界にありがちな自意識過剰なタイプなので、基本的には同族嫌悪だと思っている。
筆者の文章を楽しく読んでくれるのは、「自分好き」というより「他人好き」のタイプが多い。留美さんや真一さんもそうなのだろう。
ただし、気が合うだけでは生活はできない。留美さんはプロフィール記事の中に「条件」を明記した。家族仲がいい人であること、できれば関西に住みたいこと、そして年収が自分と同じぐらいであること。当時の留美さんは年収440万円で、あまり高収入の男性とは働き方や金銭感覚が合わないと感じていたからだ。
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