「自分は平凡」と思う人に伝えたい思考の変え方 日本が誇る「発明家」はこうやって考えている
妄想から始まる
私の仕事は「発明」である。これまで世の中に存在しなかった新しい技術を生み出すのが、研究者である自分の役目だ。
発明というと、なんだか大袈裟な話に聞こえるかもしれない。でも、言葉の意味を「新しいものを生み出す」ことと広くとらえて考えてみると、これはそんなに特別な仕事ではない。「新しいものを生み出す」こととまったく無関係でいられる仕事は、たぶん、世の中にほとんどないはずだ。
私たち人間は、いつも「新しいもの」を求めている。インターネットがなかった時代に戻れないように、新しいアイデア、新しい道具、新しい体験は、日々の生活や自分の人生をより良く、より便利に、より楽しくしてくれる。仕事でも、趣味や遊びでも、「こういうふうになったら面白いのに」「こうしたらもっと楽になるはず」などと新しい工夫を考えるのは、誰にとってもワクワクする時間ではないかと思う。
私は研究者として、それを仕事にしてきた。これまで世の中に存在しなかった新しいものを生み出すのは、じつにエキサイティングで楽しいことだ。
たとえば私が発明したスマートスキンやマルチタッチの研究、人間拡張のアイデアについて、その発想はどこから得るのかとよく聞かれるが、アイデアの源泉は、いつも「自分」だ。誰に頼まれたわけでもなく、むりやり絞り出したわけでもなく、自分の中から勝手に生まれてくるのだ。そう、それは「妄想」である。妄想から始まるのだ。
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