第3に、投資家の売買頻度が高まっていることである。「そろそろバブルのピークだ」と認識していつでも逃げられるようにして買っているから、少しでも下がる気配があれば、すぐに売るわけだ。もともと短期に急速に上がれば、いったん売る。様子を見て下落したときに再度の参入機会をうかがう。これが短期トレーダーのセオリーだが、市場全体がそうなっているとき、それはバブルである。「売買頻度の高まり」「下げの気配で売りが殺到」「短期の上昇でも売りが集中」といった「3つの特徴」がまさに第1の理由で挙げた、乱高下をもたらしている理由だ。
日経平均株価が史上最高値をつけた1989年は年末も年末、大納会のときであるが、あのときも最後は急激に上がって乱高下を繰り返したが、上記の3つの特徴を示していたのである。
ゲームストップ株とビットコインの乱高下の意味とは?
第4に、まともな株は上がりすぎて、もはや誰の目にも割高とわかるから、投資の物色対象は周辺部に向かう。短期トレーダーは獲物を周辺部、得体の知れないものに向かうのである。
それが「遊び半分」でロビンフッダーが集まった、アメリカのゲームストップ株であり、ビットコインの乱高下である。「得体の知れないもの」、というと聞こえが悪いかもしれないが、無理をしてきれいに言えば「この先どうなるかわからないもの」、もっとポジティブに言えば「夢を見させてくれるもの」とでもいおうか。典型的なものはテスラ株であり、その他のどうなるかわからない赤字企業である。
むしろテスラは黒字化し、生産も現実的になってきたことで、ブームは去り、急上昇は止まりつつある。説明がつくものは、PER(株価収益率)などの指標で割高とわかってしまう。
一方で赤字企業は、今後どれだけの黒字になるのかわからないものの、夢を見られるので、バブルになりやすい。しかもこうした企業がバブルになるのは、普通のものがバブルになってしまった後、物色対象がなくなった後なので、最終局面なのである。
「最後の最後」は、本当に投資する対象としては無理があるものになりがちである。それがビットコインである。通貨が何十倍になるのは説明できないが(むしろ通貨としての価値は下がるはずだ)、そういうものほど急激に上がる。今は乱高下もビットコインの歴史のなかでも異常であり「最終局面の最終段階」である。
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