鉄道とクルマ、似て非なる「電動化」の大義名分 技術面で共通点も、鉄道は"適材適所"で判断

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JR東日本の直流用蓄電池駆動電車「EV-E301系」。パンタグラフを用いて急速充電し、非電化の烏山線を走る(筆者撮影)

自動車の世界では今、「電動化」が注目されている。欧州ではじまった「20XX年からエンジン車禁止」の流れに日本も追従することになり、遅くとも2030年代半ばまでに乗用車新車販売で電動車100%実現を目指すことが、2020年末に政府が発表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に盛り込まれた。

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ここでいう電動車とは、電気自動車・燃料電池自動車・プラグインハイブリッド車・ハイブリッド車としており、一部のメディアが主張しているような電動車=電気自動車ということではない。

電動車を普及していくという意味の言葉である電動化も、英国やアメリカ・カリフォルニア州はハイブリッド車は含まないという厳しい内容であるものの、日本や中国はハイブリッド車も電動化に含めている。

鉄道ではごく一般的な「電動車」

電動車という言葉、自動車業界では最近使われるようになったが、鉄道業界では昔から、電車の編成におけるモーター付き車両のことをこう呼んできた。旧国鉄やJR四国以外のJRで導入した車両の形式に、モハやクモハなど記号「モ」が付いているものが電動車である。

JR東日本の「HB-E300系」。観光列車にもハイブリッド車両が導入されている(編集部撮影)

電動化という言葉は鉄道には使われていない。しかし似たような用語として電化がある。こちらも昔から使われてきた言葉で、線路に架線や第3軌条などを設置して電気を流し、電車や電気機関車の運行を可能にすることをいう。つまり車両ではなくインフラ整備の言葉だ。

いずれにせよ、電気で車両を走らせることに関しては、鉄道は自動車よりも経験豊富だ。しかしながら最近は逆に、自動車業界で先に実用化された技術が鉄道に導入される例も増えてきた。

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