鉄道とクルマ、似て非なる「電動化」の大義名分 技術面で共通点も、鉄道は"適材適所"で判断

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1つはディーゼルエンジンで発電した電気とバッテリーの電力を組み合わせ、モーターを回して走るハイブリッド車で、JR東日本では2007年に小海線で世界初の営業運転を始めた「キハE200形」に続いて、仙石東北ライン用「HB-E210系」、「リゾートしらかみ 橅」などの観光列車用「HB-E300系」を送り出している。2017年に登場したJR西日本のクルーズトレイン「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」も、山陰本線などの非電化区間を走行するためハイブリッド車となっている。

要部検査中のJR西日本「トワイライトエクスプレス瑞風」=2020年8月(編集部撮影)
瑞風のディーゼルエンジンは右側の発電機と一体になっている(編集部撮影)

自動車業界における世界初の量産ハイブリッド車は1997年にトヨタ自動車が発売した「プリウス」なので、ちょうど10年後に鉄道にも導入されたことになる。

ただしこれらの車両、JR東日本はハイブリッド車と称しているものの、キハE200形に記号「キ」がついていることでわかるように、実際は気動車扱いである。瑞風に使われる「87系」は、JR西日本では寝台気動車と称しており、キイテ87など頭にキがついており、やはり気動車だ。

一方、瑞風と同じ年に登場したJR東日本のクルーズトレイン「トランスイート四季島」に使われる「E001形」は、電化区間では架線からの電力、非電化区間ではディーゼルエンジンで発電した電力で走るが、バッテリーは積んでいないのでハイブリッド車ではない。英語ではエレクトロディーゼルなどと称しており、JR東日本では電車として扱っている。

電気自動車に近い"電車"

電気自動車に近い走行メカニズムを持つ鉄道車両もある。蓄電池駆動電車だ。架線から集電した電気をバッテリーに貯め、その電気で走行するもので、2014年にJR東日本烏山線で営業運行を始めたJR東日本「EV-E301系」が国内では最初の例であり、その後JR九州「BEC819系」、JR東日本「EV-E801系」が登場している。

「DENCHA」の愛称があるJR九州の交流用蓄電池駆動電車「BEC819系」(編集部撮影)

世界初の量産電気自動車は、2009年に三菱自動車工業が発売した「i-MiEV」なので、こちらの技術は5年後に鉄道業界で実用化されたことになる。

JR東日本の車両形式には電動車を示す文字はないが、JR九州BEC819系はクモハやモハといった記号を使っており、電車と言える。充電は電化区間あるいは駅の充電施設でパンタグラフから行っている。

どちらの場合も自動車では走行に電気を使うことから電動車として扱うが、鉄道では電気で走る車両は電動車、エンジンで走る車両は気動車と分けており、鉄道のほうがわかりやすいと感じる人は多いはずだ。

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