世界を旅する写真家が感じた「ダッカ」の息吹

予定調和とはかけ離れた出会いに満ちている

クラクションの騒音も排気ガスの公害も散乱するゴミ問題もダッカ市民は悠々と受け入れている。少なくともぼくにはそう見える。一見すると土のような地面も、よく見るとゴミが堆積して土に見えているだけ、というところも多い。

街中を流れる細い川にはあらゆるものが捨てられ、ドブ川という形容が追いつかないほど汚れている。透明な水が、クリームがかった緑というケミカルな色に変化するまでに何が投入されたのか想像したくない。

道路脇の屋台で働く人たちや物売りや三輪タクシーの運転手は、この汚れた空気によって、間違いなく寿命を縮めているはずだ。

さまざまな匂いが入り混じる街並み

三輪タクシーを降りて、街を歩くと途端にたくさんの匂いが鼻に飛び込んでくる。キュウリの匂い、腐臭、汚臭、安っぽい香水の香り、汗の臭い、ライムの酸っぱい香り、カレーの匂い、雨の匂い、排気ガスの匂い……。

日本を歩いていても、嗅覚にそこまで訴えかけるような場面に遭遇することは多くないが、ダッカはあらゆる匂いが一堂に会して、鼻の穴に次々と吸い込まれていく。主張のある匂いのオンパレードで、鼻腔はつねにフル稼働する。

歩道にマンホールはないが、下水に繋がる四角い穴がぼっこりあいていることもしばしばで、歩くときは足元に気を配る必要がある。人々は頻繁にツバを吐くので、できればそういうものも踏みたくないし、排泄物も落ちているので、注意しなければならない。

雨が多いので、ぬかるみや水たまりならぬヘドロだまりみたいなものもあって、お気に入りの靴は絶対に履かないほうがいい。

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