アメリカを悩ませる日本が抱える2つの大問題 アジアで起こっている事態にアメリカやきもき

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文大統領は、慰安婦に関する2015年の合意が正式な協定として残っていることを再確認した上で、日本が生存する女性に賠償金を支払うよう求めた韓国の裁判所の判決に不満を表明。また、戦時強制労働者への補償を認める韓国の裁判所の判決で差し押さえられた日本企業の資産の清算を先送りしたい意向を示した。

大統領としての最後の任期を迎えようとしている文大統領は、北朝鮮との関係を修復し、朝鮮戦争を正式に終結させようとする、彼自身の公約達成に向けて突破口を開くことにいささか必死になっている。

北朝鮮との関係改善に日本を巻き込みたい

文政権はバイデン政権が北朝鮮との交渉を後回しにすることを懸念しており、北朝鮮との交渉を再び前面に復活させる方法を模索している。

「トランプ前大統領と金正恩の首脳外交が終わった状況下で、日本を外交ゲームに引き込むことが真剣に検討されている」と、韓国の日本専門家の第一人者であるソウル大学のパク・チョルヒ教授は述べる。韓国側は夏の東京オリンピックが北朝鮮との外交交渉を復活させる場になることを期待している。

文大統領と彼の顧問等はまた、バイデン新政権が日本との関係を改善するよう圧力をかけてくることを予想しており、先手を打ってバイデン政権に協力の意思を示したいと考えていることもある。「文政権は、バイデン大統領が介入する前に、日韓関係を改善するためのイニシアチブを示す必要があった」と関係改善の提唱者であるパク教授は話す。

文大統領自身の人気が低下し、反日ナショナリズムを利用した支持率向上策も、最近では効果が薄れてきていることもある。「韓国の現在の状況は、日本を非難することが、もはや文大統領と与党にとって政治的な支持率向上施策とはなっていない」と、パク教授は主張する。

こうした要因を受けた文大統領の姿勢の変化も、日韓の関係改善を支持する人々が必要と考えているものとはほど遠いものがある。

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