アメリカを悩ませる日本が抱える2つの大問題 アジアで起こっている事態にアメリカやきもき
これだけ熱心に関係改善を呼びかける背後には、日韓関係の悪化が、日米豪印戦略対話を含む地域の安全保障ネットワークを強化しようとするバイデン大統領の計画に大きな戦略的な齟齬となるのではないかという懸念が、ワシントンで高まっていることがある。
中国と北朝鮮は、日韓間の「仲違いを狙っている」と、オバマ政権時の元上級国防計画官は述べる。 機能する信頼関係を回復しなければ、地域の安全保障構造のアイデアの実現は難しいものとなる、とバイデン政権のある高官も懸念する。
アメリカ側は日本に「圧力」
日韓関係は「ここ数十年でもっとも最悪な状態にある」と、アメリカ議会調査局が最近発表した日米関係の報告書は結論づけている。菅義偉政権は3国間の安全保障での協力には賛成する一方で、特に戦時中の歴史問題をめぐる問題となると、韓国との関係改善を求めるアメリカの圧力に抵抗を示している。
「3国間の安全保障上の協力問題については、北朝鮮の非核化を進める上で、北朝鮮のみならず、中国にも圧力をかけるのであれば、欠かすことができない重要課題となる」と、首相の国家安全保障局(NSS)の高官は語る。しかし、安全保障は歴史問題とは完全に切り離されるべきであり、「(歴史問題は)基本的には日韓間で対処する必要がある問題」である。
こうした方針は、バイデン大統領が就任後初めて電話会談した際、菅首相本人から聞いたことを反映している。
「日韓関係の改善を望むバイデン大統領の意向を菅首相が強く押し返したことを除けば、電話会談は実り多いものだった」と、情報通の元高官は話す。菅首相はバイデン大統領に対し、韓国側が日韓2カ国関係の正常化に関する1965年の条約を事実上破っていると述べ、「彼らはまずその過ちを正さなければならない」と話した。
菅政権がバイデン政権の要望を拒絶している間に、韓国の文在寅大統領は別の策を講じている。先月、文韓国大統領は意外にも口調を変え、日本との関係を改めることに関心を示したのだ。
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