「ダメな自分」という呪縛から抜け出す思考法 「どうなりたいか」ではなく「どう在りたいか」

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人が毎日繰り返していることは「選択」と「責任を果たすこと」で、自分を最大限に発揮するにはその成熟度を高めていく必要があります。これこそが「どう在るか」を選ぶ力。「情緒的な成熟度」です。

情緒的成熟度は、年齢や経験値、スキルなどに比例しないのが特徴です。
10代の学生でも自らに「どう在りたいか」を問い、自分の選択で物事にしっかり責任を取って生きられる人はいます。

一方で年齢を重ねても借り物の基準で選択し、責任に追われるように生きる不満だらけの大人もたくさんいます。

大きな目標を成し遂げたり、たくさんのスキルを身につけたりしたとしても、「人生こんなはずではなかった」になりやすいのは後者の方です。

成功すれば人格者になれる、がんばれば認められる……といったように、目標を達成したり何かを手に入れたりすれば自己肯定感が高まり、豊かに生きられると私たちは考えがちです。

しかし情緒的な成熟度は、成功度合いや知識の量やスキルの数とも比例しません。

思えば私が将来をお先真っ暗に感じていたころは、毎日「どうなれば」そこから抜け出せるかを考えていました。

その考えはいつも「いまの自分はダメだ」から始まっていて、「自分はダメじゃない」といった支えを自分の外側にある何かに求めていたのです。

成功やお金、持ち物など目に見える何かで自分を支えようとする心理は、当人が「自分の価値」を見いだせていない証拠でもあります。

自分が本来持っている価値を見ず、それを育てようともしないのならば、いつまでも「自分」は見つかりません。

どう在りたいかを選ぶ力が弱いと、人は「ああなりたい」「こうなりたい」と思った誰かを演じ続けてしまいます。自分ではなく誰かやその場のための選択ばかりを下し、いつしか「こんなはずではなかった」といった感覚に追われます。

そうしているうちに人は、毎日に疲労感やむなしさばかりを覚えるようになるのです。

自分のための選択をして、人として成長する

あなたの日常にもし思い当たる不具合が出ているならば、それは自分のための「選択」と「責任」の選び直しの機会、情緒的成熟が促されるチャンスが訪れているのかもしれません。

自分のための「行動」を選択し、その「責任」を取っていくことは、結果その人の「在り方」を選ぶことにつながっていきます。

「どうなりたいか」は成功のベースで、「どう在りたいか」が成熟のベース。私たちはいままであまりにも「どうなりたいか」を探し、追い求めることに忙しすぎました。

でも本当は順番が逆です。「どう在りたいか」で生きられるようになると、むしろ人の成長力は飛躍的に上がって、目標にも早くたどり着けるようになるのです。

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アルファポリスビジネス編集部

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