共通テストでも変わらぬ「自己採点制度」のナゾ 過渡期のまま40年も続いている日本の入試制度
「なぜ受験生は大学出願前に自分の共通テストの得点を知ることができないのか。12年前、高校生でセンター試験を受けたときにも同じことを思いました」
そう語るのは、医療行政の仕事を目指し、今年、医学部の再受験に挑む男性(30歳)だ。1月16、17日、入試改革による初めての大学入学共通テストが行われた。だが、受験生が試験後に自分で採点して国公立大学に出願する「自己採点制度」は今も昔も変わらぬまま。大手予備校の講師・西村能一さんは言う。
「受験生が自分の共通テストの得点を知ることができるのは、入試が終わった4月以降。出願前に知り、正確な大学出願ができるようにすべきです」
マークミスの不安
受験生は問題用紙に書き残したメモをもとに自己採点するが、メモが間違っていたり、全部メモしきれなかったりする。自己採点では高得点なのに、気づかないマークミスがあり、想定外の残念な結果になるケースもあると、西村さんは指摘する。
共通テスト後のSNSなどには「マークミスとか不安だから得点の開示をしてほしい」と訴える受験生の声もあった。先の男性も、医学部受験は共通テストの得点をもとに各種データを見て出願先を決めるため、正確な得点把握が大事なのだという。
「私大の中には2月10日ごろ、共通テストの得点で合否を出すところもあります。大学には受験生の得点が渡るのに、肝心の受験生に知らされないのは変じゃないですか?」(男性)