企業や飲料も「ダウンサイジング」が進む必然 日本社会の「縮み化志向」は何をもたらすのか

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従来型の価値観、意識が変容していくなかで、東京一極集中のなかでの組織・集団依存的なライフスタイルからの脱却という選択や、個人の意思表示としての選挙投票への参加というアクティブな動きにつながっていくかもしれない。日本が成長から成熟へと舵を切る時代に突入するシナリオの可能性だ。

もちろん、これらは筆者のあまりにも楽観的な理想論にすぎないかもしれない。むしろ逆に、100年前のスペイン風邪の大流行、終息後に、世界の主要国が不況下でブロック経済化に走り、第2次世界大戦へ突き進んだような悪夢が訪れる可能性も否定できない。

ダウンサイジング志向で大きな転換期に

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大規模な戦争はともかく、地域衝突・紛争の増加や資源・食料の地球規模での争奪戦など、ブロック化やナショナリズムの高まりによる弊害が顕著になってくる恐れは十分にある。国連や関連機関の存在感が乏しい現状では、国際的な調整力や抑止力は期待できそうにない。

ともあれ、少子高齢化・人口減が進んでいく日本社会は今後、総体として確実に縮んでいく。コロナ禍によるダウンサイジング志向、縮み化現象は、国にとっても、企業にとっても、そして個人にとっても、かつてない大きな転換期となる予兆なのではないだろうか。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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