ビル・ゲイツが熱弁「原発に希望を託す」理由

極秘会見で明かした気候変動への考えと解決法

だが、排出量の多い鉄鋼やセメント製造、航空機燃料を排出量の低いものに置き換えるコストが高すぎて、ノルウェーのように高い炭素税を設けているところでさえ、このコストをカバーしきれない。もう1つの基準は排出量を減らすのではなく、排出量ゼロを目指しているかだ。

だが、問題はインドのような中進国だ。例えば、全国民に対して普通の家や電気を提供し、基本的な移動手段を整備すると決めたとして、排出量の少ない製造・生産プロセスのコストが今と同じくらい高いとしたら、こうした国は反発するだろう。これが起こらないためには、グリーンプレミアムを95%下げなければいけない。

5年めどにアメリカで試験炉を建設

――著書では、脱炭素を達成するには再生可能エネルギーの精度を上げ、足りない部分は原発で補っていく案を掲げているが、世間の原発に対する不信感は根強い。

確かに既存の原発にはたくさんの問題がある。特にアメリカでは天然ガスと比べた場合の発電にかかるコストが高いうえ、安全性の問題もある。

一方、テラパワーは第4世代の原子炉を開発しており、安全性はこれまでのものとは比較にならないほど高い。加圧する必要はないし、熱によって事故が起こるということもない。第3世代の原発がいいという人もそうじゃない人も、第4世代はオープンな気持ちで考えてみてほしい。第4世代はこれまでのものとはまったく異なるものだ。

――自身が会長を務めるテラパワーは中国で原発を建設する予定だったが、米中の関係悪化により白紙になった。アメリカのバイデン政権で関係改善が図れれば、再び中国に進出するか。

確かに中国と協業する予定だったが、前トランプ政権の判断でそれも諦めざるをえなくなった。その後、ありがたいことに40億ドルのプロジェクト資金を得て、5年後には試験炉を運用したいと思っている。その頃には、発電コストや安全性ももっと明らかになり、発電コストを抑えながらクリーンエネルギーを普及させるために、グローバル展開を推し進めたい。

新たな原子炉がアメリカと中国の関係を改善させる1つになって欲しい。どちらの国にとっても気候変動は大きな課題であり、アメリカの原子力規制委員会(NRC)が背中を押してくれるのならば、中国と協業する手段を見つけたい。

――1月には菅義偉首相と話したということだが、気候変動問題における日本の役割は。

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