ビル・ゲイツが熱弁「原発に希望を託す」理由 極秘会見で明かした気候変動への考えと解決法

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メリンダと私は、政権移行期間中にバイデン大統領と話すことができた。その時の主な話題は気候変動とパンデミックで、私たちの財団もこの分野にはできる限りの貢献をしたいと伝えている。ジョン・ケリー氏など、バイデン政権の運営に関わる人たちの多くは個人的に知っている人たちで、何人かとはすでに話している。気候変動における政府の役割の重要性を認識している人も少なくない。

バイデン大統領は就任後すぐにパリ協定に復帰したが、COP26にもバイデン大統領自身が参加し、この問題への本気度を示してほしいと思う。バイデン大統領の気候問題関連の経済的なコミットメントは素晴らしい。今回の書籍を私は大統領だけでなく、上院で気候変動の委員会に参加している議員全員に送っているので、今後の枠組みに関する議論のベースになればいいと思っている。

気候変動分野の研究開発にこれまで以上の予算が当てられるのは確実だと思うし、投資は長期にわたるものなので、民主・共和両党からの支持を得られるだろう。気候変動分野でイノベーションが活性化することになれば、新たな企業や雇用が生まれることから、共和党もメリットを感じているはずだ。

燃料電池車はいいアプローチ

――電池のポテンシャルをどう見ているか。

燃料電池には2つのタイプがある。1つは、EVなど移動手段に使われるもので、もう1つがグリッドスケールのエネルギー貯蔵システム用だ。私は多くの電池企業に投資をしていて、そのうちの1つがクァンタムスケープという最近上場したばかりの会社だが、リチウムイオン電池より2倍性能が高く、走行できる距離も長い。今後10年は自動車分野でグリーンプレミアムが縮小する可能性が高いだろう。電池の性能が上がり、コストはゼロに近いほどに下がってくる。

一方、グリッド向けの電池開発は非常に難しい。それでも、ブレイクスルー・エネルギー・ベンチャーのポートフォリオの中には、熱エネルギーの貯蔵を手掛けるマルタ、水力発電の技術を開発するクイッドネット、それからフォーム・エネルギーという電池会社が入っている。現況ではグリッド用のバッテリーの開発には物理学上の限界があり、これを超えるには素晴らしい発想が必要だ。

――ゲイツさんもEVに乗っている?

ポルシェ・タイカン・ターボというEVを所有していて、これは本当にいい車だ。私の周りでも、テスラを含めて多くの人が電気自動車に持っていて、その体験にも満足している。

ゼネラル・モーターズ(GM)も最近、2035年までにすべての自動車を電気自動車にすると発表したばかりで、今後のこの分野は一段と発展するだろう。温室効果ガスの排出、という点で見ると、自動車によるものは全体の7%に過ぎないが、それでもこの分野が最も簡単に排出ゼロに近づけるのではないか。

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