「自動運転バス」普及の鍵は法規とマネタイズ 地方で生活の足として期待される新交通の未来
歩行者や自転車、他車両も走る一般公道で、現在の自動運転バスに安全な「ドライバーなし」運行を可能とする技術があるのか否かにも、当然疑問が残る。また、ドライバーがいない自律走行の路線バスで、急病人などが出た場合の対応などには、運行会社側の人員(ドライバーや車掌など)が必要だという声もある。自動運転バスには、技術面だけでなく、運用面や法律といったさまざまな課題がまだまだ山積みなのだ。
マネタイズの問題
マクニカの担当者によると、自動運転バスには「地方自治体などで生活の足として運用するには、マネタイズの問題も大きい」という。茨城県境町では、当該事業に5年間で5億2000万円の予算を計上している。これは「ふるさと納税などの施策が成功するなどで、税収など町にある程度の収益があるから」(マクニカ担当者談)だという。
だが、税収などが少なく、なかなか予算が取れない市町村も多い。境町では、ソフトバンク傘下のボードリーが実際の運行や管理など、マクニカもバスの販売だけでなく車両やシステムのメンテナンスなどを行っている。2社は、いずれもあくまで利益を追求する一般企業であるため、自治体に予算がなければ採算が取れない。
HICityのように基本的に企業が主体となるケースや、自治体でも東京などの大都市圏であれば、車内にデジタルサイネージ用のモニターを設置するなどで、広告費を収益源とすることも可能だ。ただし、過疎化や高齢化が進む地方自治体では、そういった広告収入を望むことも難しい。
新たな公共交通機関として期待される自動運転バスには、そういった「地方と都市部の格差」といった課題も残されている。現実的な普及には、まだまだ多くの時間や議論などが必要なのだ。
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