日本郵政の労働組合が抱く強烈な危機感の裏側 JP労組が会社に異例申し入れ、幹部2名を直撃
――当時の会社との基本給引き下げの合意が招いた結果に対するJP労組の責任についてはどう考えますか。
栗田:われわれはそのときそのときで、最適な判断をしていかなければならないし、この先もそうだろう。1つひとつ、過去の責任というよりは、その当時として最適な判断だったと受け止めている。評価や反省はしつつ、問題があれば改善するのは当然だが、それが責任という言葉になるとちょっと違うのではないかと思っている。
組合費の引き下げはしない
――渉外社員の生活が苦しい中で、1人当たり年間4万~6万円の組合費について一時的にでも下げろ、という声が組合員の中にありますが。
栗田:今のところは、そういう検討はしていない。JP労組の運営には一定の固定費がかかっているからだ。例えば非正規社員が組合に加入すればするほど収支的には厳しい。だが、働く仲間を守るという社会正義的な観点から非正規社員の加入を進めている部分がある。
組合費収入が年々下がっていることもあり、正直言ってギリギリのところで運営している。JP労組として十分に役割を発揮していくためには、一定の予算を確保していかないといけない。今の段階では組合費の徴収額を見直すということは考えていない。
坂根:かんぽ不正の問題発覚前に、これまでにも営業手当をたくさん得ていた人たちに対して、じゃあ営業手当が多いから組合費も多く払ってくれ、とはやっていない。組合費はあくまでも基本給ベースで決めて取っているからだ。もしも手当が多いときに多く取っていたのであれば、じゃあ手当が下がったら組合費を下げましょうとしなければならないが、そういうやり方ではやってきていない。
グループ全体で基本給全体から計算してやってきている。今は(賃金が元に戻ったので)渉外社員も窓口社員も同水準の固定給をもらっている。渉外社員の手当が減っていて厳しいからといって、渉外社員の組合費だけを下げるというのは違うのではないか。